「綾小路殿はいつ、西の方にお住まいだったんですか?」
アフワーズからテヘランへ向かう汽車の中で、マコトは問いかけた。
任務に入る前に確認した綾小路の経歴、その中に彼の言葉遣いに繋がる経歴が見当たらなかったことを思い出したからだ。
今なら聞いても構わないだろうと、切り出した。
「西? 大陸か?」
「いえ、本土の関西地方の意味ですが」
「僕、海外赴任以外はずっと帝都やで。帝都生まれの帝都育ちや」
「……じゃあどうして、その西の話し方なんですか?」
「ああ、うちは母が身体が弱かったさかい、父方の祖母の元で育てられたんやけど、京育ちの祖母が『東夷(あずまえびす)の言葉なんか喋りなさんな』と煩くてな。だから、喋ろうと思ったら、標準語も話せるけど?」
急に最後だけアクセントが変わったのでマコトは面食らう。
「香港育ちの澤城さんは、標準語の方がわかりやすいか?」
「いえ、西の言葉で構いません」
綾小路の標準語は、慣れないというか、嫌味というか、ちょっと気味が悪いな、とマコトは思った。
◇◇◇
随分過ぎてしまいましたが、あけましておめでとうございます!
本年もよろしくお願いします!
春の帝冠、更新のない週のこぼれ話、今回は綾小路の京言葉についてです。
綾小路、実は帝都生まれの帝都育ちです。
京都に住んだことはない、という設定です。
でも、親族は京都にいたり、京都出身だったりする、という設定です。