どうも皆さんこんにちは!心音ゆるりです!
小日向さんロス、味わっていますでしょうか?( ゚Д゚)
私も寂しさをひしひしと感じております。一年以上毎日考えてたからなぁ。そりゃそうもなりますわね。
ともあれ!
無事二巻が発売いたしました! 最高に可愛い小日向さんが表紙ですね!とてもよき! 内容もよきですよ!
そんな記念すべき日ということで、SSをお届けします~。
内容は二巻近辺の内容ですので、ご了承くださいませ(o*。_。)oペコッ
二巻発売記念SS ~KCCの日常~
その日、桜清高校の生徒会長を務める斑鳩いろはは、クラスメイトたちから同情的な視線を浴びながら、教室の隅の席で頭を抱えて唸っていた。
そんな哀れな姿の斑鳩に近づき、そっと肩に手を乗せるのは生徒会副会長の白木倫。彼女もまた、今にも泣きだしてしまいそうな、不安定な表情を浮かべている。
「お気持ち、お察しします」
白木からの言葉に身を震わせる斑鳩。のそのそと顔を上げる彼女の顔は、目元は赤く腫れており、長い時間涙を流したことが窺える状態だった。
人によっては見せたくないであろう顔のまま、彼女はまるで星を見上げるかのように、涙を流すまいとするように、上を見る。そして、かすれた声で呟いた。
「我々は、無力だ」
「……はい」
斑鳩に同意するように、白木も嗚咽を堪えながら返事をした。
この受け答えをするのは、これで何度目だろうか――と斑鳩は過去を振り返る。そして音が鳴るほどに歯を強く食いしばった。
「小日向たん辛い顔を浮かべてほしくない、小日向たんに悲しい顔を浮かべてほしくない、小日向たんに笑っていてほしい――そう考えてしまう私は、傲慢か?」
「いえ、人類の総意です」
「だったらなぜ――なぜっ! 高校には定期テストなどというバカげたイベントがあるのだっ!」
力強く机に拳を落とし、斑鳩は叫んだ。
斑鳩の隣に座る男子生徒が、激しい音にビクッと身体を震わせたのち、「俺ちょっとトイレ言ってくるわ……ちびったかも」と席を離れていく。
そんなことに気付く余裕もない斑鳩は、大きくため息を吐いた。そして――、
「……『ルミナ』」
なんの前触れもなく、斑鳩はKCC内で使用されるコードネームを呟く。するとその瞬間、階を隔てた場所にいるはずの二年生の姿が、斑鳩の傍らに現れた。
「状況を説明してくれ」
「はっ、我らが神は現在数学に注力している模様。まだ新米の私は直視すれば目を焼かれるため、観測はKCC規則第五一七三条第二項に従っております」
「何か変化はないか?」
「やはり杉野智樹――いえ、メシアとの化学反応により、貧血で倒れる会員の増加が止まりません。このままでは『血液パックが足りなくなるのではないか』という不安を抱えながら血を流すことになるかと……我々も鉄分摂取による自己生産を心がけておりますが、限界が近づいております」
KCC会員以外が聞けば、「じゃあ小日向を見ないようにすればいいのでは?」という回答が出そうな問題ではあるが、その選択肢は彼女たちの頭には浮かばない。選ばないのではなく、そもそもその発想ができないのだ。
やや不安げな声で言うルミナに対し、斑鳩は「あぁそのことか」と軽い調子で答えた。
「安心しろ。ここ以外の四十六都道府県、そして海外にも協力を取り付けた――いや、これでは少し語弊があるな……『協力させてほしい』と連絡がきたところだ。血の枯渇は心配ない」
その言葉を聞いたルミナは、瞼を持ちあげて驚いた表情を浮かべる。
「資金に問題はありませんか?」
「現金でも問題は無かったが……先方の希望でな。百リットルに対し、小日向たんのエピソード一つということになった」
「ふむ……妥当な数字ですね」
彼女たちの会話を不審に思う者は、日を追うごとに少なくなっていくのだった。