白銀の祝福
氷が
ひとつ
弾ける音から
新しい年は始まる
高い空で
まだ名もない光が
白く息を吐き
世界へ向かって
ゆっくりと
ほどけていく
祝福は
言葉を持たない
ただ
白銀の粒となって
落ちてくる
屋根に
森に
眠る街に
触れるたび
きん、と
小さな音を残して
それは
壊す音ではなく
閉じていたものが
ひらく音
凍っていた時間が
静かに
ひび割れる音
誰かの願いに
直接は触れず
それでも
確かに
世界を軽くする
白銀の祝福は
選ばない
急がない
ただ
少しずつ
降りてくる
過去を覆い
未来を照らさず
「ここから先も
生きていい」と
そっと
告げるように
氷の弾ける音とともに
新しい年は
音楽を持たず
光だけを連れて
始まる
そして世界は
また
呼吸を思い出す
