「鬼族(おにぞく)」の中でも特に残忍と恐れられる“赤鬼”の戦闘種である。常に笑みを浮かべながら血を浴びる姿から、“紅哭鬼(こうこくき)”の異名で語られている。赤鬼の里では「人を斬って初めて一人前」とされ、幼少から殺しを叩き込まれた。泣き叫ぶ者を斬れるか、命乞いを聞きながら笑えるか、それが誇りとされた。この赤鬼はその中でも異質であり、初めて人を斬った時から恐怖も罪悪感も抱かなかった。飛び散る血と断末魔に愉悦を覚え、強者が壊れていく瞬間に美しさすら感じている。
その危険性から、王国間戦争では“切り札”として名が挙がることがある。しかし彼女が戦場へ出ることは極めて稀であり、「赤鬼を呼ぶには王族の命が対価になる」という噂が囁かれている。実際、彼女が参戦した戦では、敗戦国ではなく戦勝国側の王族が首を落とされたという話すら残る。敵味方の区別はない。彼女にとって世界は狩場であり、生きる者はすべて獲物だからである。
「アイツの話はやめてくれ…。時々夢で血まみれの顔が笑うんだ…。赤い角が見えた瞬間、みんな逃げた。…逃げた奴から死んでいった。」
『生き延びた兵士』