近隣の某県某寺院で「結縁灌頂」の儀式を体験してきました。
仏様と縁を結ぶ、みたいな儀式ですが、ちょっと思ったのと違った……。
この儀式の中に「投華得仏」という、目隠しして曼荼羅に花を投げ、落ちた所の仏を守護仏とする、というのがあるんですが。
このお寺のは「お坊さんが真言を唱えるごとに我々が祭壇のまわりを一歩ずつ回る→真言が止まったときに横にある御幣に書かれてる仏を守護仏とする」という……なんかイス取りゲームみたいな方式だなこれ。
あと選ばれる仏も曼荼羅全体からじゃなく「十三仏」と呼ばれる特定メンバーからなのであった。これも私の推し仏はメンバー外なので残念。
さて、この「十三仏」というのは死者の供養(初七日とか四十九日とか)に密接に関わる仏のグループ。十王信仰(閻魔王ら地獄の十人の王、それと十尊の仏が同一存在であるとする信仰)とも密接に関わりがあるようです。
そして今回私が結縁した守護仏は……地蔵菩薩! おなじみお地蔵様です!
供養を旨とする十三仏、そして十王信仰に限っては、大日如来や不動明王ではなく地蔵菩薩こそがメイン。いわば選抜ユニットのセンターなのです。
……まあ正直、最初聞いたときは「……地味だな……」と思いました……。
ある意味最もメジャーな仏ではありますが「メジャー過ぎて逆に空気」という謎のキャラです。仏像好きな私でさえ、その辺の石地蔵見ても、仏像としてでなく「風景の一部」という認識をしてしまうであろう空気っぷりである。
だが、地蔵は凄い。
名作『孔雀王ライジング』で、地蔵菩薩こそは「自ら地獄に落ちてまで人を救う唯一の仏」とされていた。
確かに大日如来やら不動明王が地獄に現れたという説話は寡聞にして聞かない。
塞の川原で泣く子を救い上げ、あるいは亡者の身代わりとなって地獄の炎に自ら身を投ずる……「地獄に仏」を体現する仏の中の仏、菩薩の中の菩薩。それが地蔵菩薩。
まあ十王信仰では地蔵=閻魔王なので「お前が地獄に落としたんやないかっ!」というマッチポンプ疑惑もあるのだが……「法は法、閻魔としてきっちりと裁く」「それはそれとしてお前は救う。法だと? それは閻魔とかいう奴が言ったことだろう、オレは地蔵だから知ったこっちゃないね」
という……ダークヒーローめいた二面性がまた渋いではないか。もしくはツンデレキャラなのかも知れないけど。