いつも読んでいただき、まことにありがとうございます!
この度、
『世界樹の守り人』
が書籍化することになりました。
発売は9月15日ごろとなっております。
WEB版から大きく構成を見直して、
面白さをギュッと凝縮したものになっております!
さらに、2万文字ほど書き下ろしを追加しております。
こちらも一緒に楽しんでいただけたらと思います。
少しずつ成長するリディルくんの姿を見ることができると思います!
よろしくお願いします!
表紙はこんな感じです。とても素晴らしいイラストに
仕上げていただきました。最高です!
ちなみに「辺境の魔法薬師3巻」は8月発売予定になっております。
同時にコミカライズ1巻も出ますので、
こちらもよろしくお願いします。
**** ここから小話 ****
1027話くらいの話――野営の練習をするアクセル視点
ユリウスたちと一緒に野営の練習をすることになった。なんのことはない。これまで野営を体験したことがないセレス嬢に、万が一に備えて、教えようという話である。
でもなぁ。俺たちの野営は、一般的な人たちが考えている野営とは、大きく違うんだよな。なので、これから行う野営の練習が役に立つのかどうかはとても怪しいと思っている。
「それじゃ、アクセルたちはかまどの用意をして欲しい。まずはたき火の準備だね」
「了解だ。任せておいてくれ。その辺りにちょうどよさそうな石が転がっているみたいだからな」
野営の練習場所に選んだ、騎士団の訓練場にはちょうどよさそうな石が転がっている。これを使えば、「普通の人たちが行う野営」を体験させることができるはずだ。そのためにも、まずは俺がしっかりとたき火の準備をしなければならないな。
「ファビエンヌ、手が汚れると思うけど、あとで水魔法を使って洗えるから、そこまで神経質にならなくてもいいよ」
「分かりましたわ。家ではお庭や薬草園の手入れをしておりますので、心配はいりませんわよ」
「そうだったね」
そんな話をユリウスとファビエンヌ様がしている。どうやらファビエンヌ様は見かけによらず、汚れることを嫌ってはいないようだ。てっきり貴族の女性はそう言ったことをするのを嫌うかと思っていたのに。
「ファビエンヌ様はお庭だけでなく、薬草園も作っておりましたのね。色々とお話を聞きたいですわ」
「もちろん構いませんわよ」
そう言って、セレス嬢も一緒になって手伝い始めた。こちらも汚れることに対しては、特に思うことはないらしい。
これなら大丈夫そうだな。汚れるのを嫌っていては、何もすることができないからね。見学してもらうしかなくなるところだった。
ファビエンヌ様とセレス嬢に教えながら作業をしていると、なんだか周囲で見守っていた騎士たちが騒がしいような気がしてきた。まさか。
そう思ってユリウスとイジドルの方を見ると、立派な四角い建物を作っていた。
あれは……もしかしてトイレか? 普通の野営のときには、あんな立派なトイレは存在しないと思うのだが。
だがユリウスとイジドルは、そんなことを気にすることなく、今度は長方形の浅いくぼみを作り始めた。あれはお風呂だな。しかも、何やら細かい装飾が施されつつあった。ユリウスくん、イジドルくん?
「ちょっと、またとんでもない物を作ろうとしてないか?」
「アクセル、お風呂は必要だぞ?」
「それはそうだが、装飾は必要ないんじゃないかな」
「確かにそうかもしれない。よし、まずはお風呂を完成させよう。イジドル、壁を作るぞ」
「分かったよ」
どうやらお分かりいただけたようである。イジドルと一緒に、いともたやすく魔法で土の壁を作り出していた。
うーん、やっぱり俺の思っている野営とは違うな。ほら、ファビエンヌ様とセレス嬢も、二人が魔法で色々作っている姿を見て、苦笑いしているぞ。