いつも読んでいただき、ありがとうございます!
皆様のおかげで、
『辺境の魔法薬師』
が1000話まで到達することができました。
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連載を始めたころはここまで続くとは思っていませんでした。
ここまで続けてくることができたのも、
いつも読んで、応援して下さる皆様のおかげです。
本当にありがとうございます!
これからも皆様に楽しんでいただけるようにがんばりますので、
引き続き、応援のほどをよろしくお願いします!
それでは、良きGWを。
**** ここから小話 ****
941話くらいの話――規格外の魔法薬に動揺するファビエンヌ視点
今日は私の家でユリウス様と一緒に魔法薬を作ることになっていますわ。朝もいつもより早起きをして体を洗っておきましたし、準備は万全です。
ユリウス様とミラちゃんがアンベール男爵家へやって来たところで、すぐに調合室で魔法薬を作ることになりました。おそらく、西へ行くときに持って行く魔法薬を作るつもりなのでしょう。
「さすがだね。これだけ色んな素材があれば、問題なく魔法薬を作ることができそうだよ。集めるのが大変だったんじゃないの?」
「それが、王宮魔法薬師のみなさんが分けて下さいましたのよ。私がここへ戻ってからも、魔法薬を作れるようにって」
もちろん、アンベール男爵家の庭で私が育てた素材もありますが、希少価値の高い素材はいただいたものばかりです。魔法薬ギルドへ行って、自分で購入できればよかったのですが、今の私ではそれができませんからね。私が魔法薬師であることは、まだ公にはできないのですから。
「まずは完全回復薬を作ろう。これがあれば、何があっても大丈夫だからね」
「私にも作れるでしょうか?」
「大丈夫だよ。一緒に作ろう」
さっそくユリウス様に教えてもらいながら、私も完全回復薬を作りました。まさかこんなすごい魔法薬が、自分で作れるようになっているとは思いませんでした。これもユリウス様の指導のおかげですわね。
「よくやったよ、ファビエンヌ。これなら大丈夫だね」
「ありがとうございます」
ユリウス様がほめて下さいました。えへへ。とってもうれしいです。私もユリウス様のお力に、少しはなれたでしょうか?
「次は、完全回復薬にちょっと手を加えてみようかな?」
「どうなさるおつもりですか?」
「ミラの毛を少々入れてみたらどうなるかなと思ってさ」
「すごいことになりそうな気がしますわ」
「俺もそう思う。ちょっと楽しみだ。ここならどんな魔法薬が完成しても大丈夫だからね」
ミラちゃんの毛にはすごい力があると聞いています。ユリウス様は楽しみだと言っていますが、私はなんだか嫌な予感がします。本当に大丈夫でしょうか? でも、一緒に作ってみたい気もします。
そうしてユリウス様と一緒にあれこれと完全回復薬に手を加えていると、ついに完成しました。
とんでもない魔法薬が。
復活薬:高品質。死者を復活させる。傷はそのまま。死後三時間以内。
「ユリウス様!?」
私の目には見えてしまいました。見てはならないものが。
「これ単体だと、ちょっと微妙な性能だね。これを使うなら、完全回復薬も合わせて使わないと意味がなさそうだ」
「そうかもしれませんが、問題はそこではないような」
確かに傷はそのままですので、それをなんとかしなければ、あまり意味のないような気がします。
ですが、今、私たちの手元には、完全回復薬がありますわよね? それって、完全に復活させることができるってことですわよね!?
なんともないような顔をしているユリウス様。とんでもないことになっておりますわよ!?
「よし、次は上級持続回復薬を作ろう。これを飲めば、しばらくの間、ケガしてもすぐに傷口が塞がるぞ」
「それもすごい魔法薬ですわよね?」
さらりとまたすごい魔法薬の名前を出すユリウス様。
さすがは超一流の魔法薬師ですわ。私、ついて行けるでしょうか。ちょっと不安になってきました。