「召喚スキルを継承したので、極めてみようと思います!」
が本日発売となりました。
よろしくお願いします!
かわいい子てんこ盛りなので、ぜひ手に取って、
読んでいただけるとうれしいです!
https://mfbooks.jp/product/syoukan/322311000092.html**** ここから小話 ****
902話くらいの話――顔色の変化を楽しむミラ視点
もぐもぐ。うん、このドーナツもおいしい。こっちのドーナツはどうかな? こっちはチョコレートの上に、黄色いつぶつぶが載ってるね。なんだろう? さとうのかたまりだ! うまい! テーレッテレー!
「ずいぶんと仕事を進めることができたわ。ファビエンヌさんはこういった仕事もできるみたいね。これはいいことを知ったわ」
「そ、そんな……私なんてまだまだです」
「そんなことはないわよ。もっと自分に自信を持ちなさい」
「はい……」
あ、ファビエンヌお姉ちゃんがちょっと落ち込んでいるな。そんなファビエンヌお姉ちゃんにスッとドーナツを差し出した。ボクはできる子だからね。
ドーナツを半分にするファビエンヌお姉ちゃん。半分を食べ、残りの半分をボクにくれた。
さすがはファビエンヌお姉ちゃん。分かってるね。もぐもぐ。
「まだ戻って来ないわね。これは迎えに行った方がよさそうだわ」
「そうですわね。日も暮れ始めてきましたわ」
ダニエラお姉ちゃんが時計を見て、ファビエンヌお姉ちゃんが窓の外を見た。そしてお互いに顔を見合わせて、困ったような笑顔をしている。
ユリウス、早く戻ってきた方がいいかもしれないよ? どうなってもボクは知らないからね。
そんな思いもむなしく、ユリウスたちは戻ってくることはなかった。
もう、しょうがないなぁ、ユリウスは。ボクたちで迎えに行ってあげよう。
「あなたたち、いつまでやっているのかしら?」
「ダニエラ? ああっ、もうこんな時間!」
アレックスお兄ちゃんが慌ててまんまるの時計を見ている。どうやら外が暗くなっていることにも気がつかなかったみたいだね。
そしてそれはユリウスたちも同じだったみたい。窓の外を見て、みんなの目が大きくなってた。
うっかりさんだな~、もう。
「つい、夢中になってしまいましたね」
「そうだね。でも、おかげでもう完成する間際だよ」
「もうちょっとですわ、頑張りましょう!」
あ、ダニエラお姉ちゃんの頭から二本の角が生えている。ボクには見えるぞ、その角が。どうやらユリウスもそれに気がついたようで、顔が青くなっている。
どうなってもボクは知らないからね?
「あっ、ファビエンヌを家まで送らないと! ごめんね、ファビエンヌ」
「いえ、気にしないで下さい。私が声をおかけしなかったのが悪いのですから」
「ダメよ、ファビエンヌちゃん。そんな大事なことは、しっかりと話しておくべきよ。それができないのであれば、家を出るときに、ご両親に泊まるかもしれないことを言っておきなさい」
「そ、そうですわね。次からはそういたしますわ」
今度はファビエンヌお姉ちゃんの顔が赤くなったり、青くなったりしている。本当に不思議だよね。ボクの顔の色も、実は変わっていたりするのかな? もしかして、毛の色が変わっていたりして。
それはそれで見てみたいな。面白そう。
「それでは今からすぐにファビエンヌを送っていきます。ミラ、頼んだよ」
「キュ!」
任せてよ。ようやくボクの出番だね! あっという間にファビエンヌお姉ちゃんを家まで送ってあげるよ。そしてごほうびのおやつをもらうんだ!