あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
去年の最後は風邪引いて完全にダウンしてしまって更新何も出来ませんでした。
今年こそはアルディスをどうにか動かせるよう頑張りたいです。
後、本当は大晦日辺りに出したかったネタなんですが、間に合わなかったのでここに載せときます。
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番外編 抱負あるいは小さな夢について
――それは、私がローレンス精霊相談所で仕事納めをした日のこと。
私は、今年最後の仕事を終えて、すっきりした気持ちで家に帰る準備をしていた。
「よし! 今年は初めて落ちついて年越しができるわ」
「初めて。って、今までどんな年越ししてきたんだ?」
「私、ずっと冒険者だったからね」
「冒険者だって、1年の節目くらいは家で家族と休むんじゃないのか?」
「そう、普通はね。だからこそ、私にとっては稼ぎ時だった訳よ」
さすがに、年末に依頼をやる人は少ない 。だから、年越し辺りの依頼は割高でギルドに張り出されている。その依頼を、美味しいからと片っ端から受けまくっていた私にとって、年越しはそりゃあ忙しいものだったのだ。
「お前、いくら借金返済のためだからって、年末年始までは働きすぎだろ」
「だって早く借金返したかったし。私、冒険者始めた年の抱負は全額返済だからね」
「なんて、世知辛い抱負なんだ……。 俺が、ここに就職した時の抱負なんて"大事件を解決すること”だぞ!?」
「ちなみに、その抱負は達成したの?」
「ふっ、また来年に持ち越しだ!」
「また、かー」
どうも、今年までずっと同じ抱負だったようだ。これは、達成まで遠い道のりな予感。
まあ、そうそう大事件あっても困るしね。
「そういえば、来年はどうするんだ?」
「何が?」
「抱負だよ。もう、借金返済終わったんだろう?」
……言われて気づいたけど、そういえば、来年の抱負とか全然考えて無かった。
「何かないのか? 事件解決とか!」
「え、うーん。そうだなあ……」
「せっかくなら、次は自分のしたい事とか抱負にすればいいんじゃないか? 後は借金前にあった目標とか」
したい事、目標ね。
ログ君に言われて考えてみる。
色々したい事があった気がする。欲しいものだって同じだ。
ただ、色々あったという事だけは憶えているのに今これというのがぱっと出てこない。
ふと、自分の手元にある羽根ペンを見る。
知り合いから譲って貰ったお古の羽根ペンは、気づいたらかなりボロくなってしまった。最近インクの付きが悪いのが困りどころだ。
そういえば、この前ルルがお店で使っていたペンは良かったな。万年筆って言って、デザインが綺麗だったし、ペン軸が頑丈で使いやすそうで、何よりインク壺が万年筆と合体してるからインクを何回も付けなくていいのが便利だ。
「よし、私の来年の抱負は万年筆を買うことにする!」
「万年筆!? 欲しいなら街に行けばすぐ買いにいけるぞ」
「来年の抱負って言ってるでしょうが」
そもそも、今思いついたから具体的に何がほしいとか考えてないし。
「来年色々調べて私の理想の万年筆を買うの。うん、そう思うとなんか次の年が楽しみになってきたな」
冒険者をしてる頃は、来年が来ても別に次の年になるだけだったし。借金返さなきゃ家族が大変だったから、願いとか二の次三の次だった。
――そっか、自分のためだけの願いって久しぶりかもしれない。
この気持ちを持って、次の年に向かう事。
小さな願いかもしれないけど、私にとっては大事にしたい抱負だ。
だって、それだけで来年はなんだかいい年になりそうって思えるのだから。