1:作者
今日は『維新示現』の中でも、たぶん一番目立っている存在。
血の燕について少し。
2:名無しの読者
主人公より目立ってる奴きたな
3:作者
否定できません。
ただ、最初から血の燕というキャラクターがいたわけではありません。
というより、白燕華そのものが、最初はここまで重要な人物ではありませんでした。
4:名無しの読者
マジか
5:作者
最初の燕華は、
中国へ漂着した霧島刃を助ける、ただの村娘でした。
白沙村に住んでいて、
傷ついた刃を助ける。
本当にそこから始まっています。
6:名無しの読者
血の燕の面影ゼロで草
7:作者
ありません。
そもそも『維新示現』は本編の方が先にありました。
刃が城山から中国へ渡り、
白沙村へ流れ着く。
そこから物語が始まる構想でした。
8:名無しの読者
じゃあ前日譚は後付けなんか
9:作者
完全に後です。
作品を持ち込むことを考えた時、
「いきなり連載ものを一本持っていっても、これはなかなか難しいな」
と思いました。
10:名無しの読者
ムリゲーを察した作者
11:作者
だいぶ察しました。
そこで、
「公孫炎と燕華、この二人だけで一本の読み切りが作れるんじゃないか」
と思ったんです。
かなり安易な思いつきでした。
12:名無しの読者
作者「読み切り一本作ったろ」
↓
血の燕誕生
どうしてこうなった
13:作者
本当にそんな感じです。
燕華には弟がいたことにしよう。
その弟を失ったことにしよう。
公孫炎とは以前から交流があったことにしよう。
そうやって読み切りを組み始めました。
そこからです。
燕華が、ただの村娘ではなくなっていったのは。
14:名無しの読者
後付け設定が本編食い始めてて草
15:作者
書いているうちに、
「弟を殺された少女が怒って戦う」
だけでは少し弱いと思いました。
燕華は泣いている。
でも、その顔を誰にも見せない。
では、何で隠すのか。
そこで出てきたのが、
弟・小羽が作った白い笑い面でした。
16:名無しの読者
ここで仮面出てくるんか
17:作者
そうです。
燕華本人は泣いている。
でも、外から見える顔は笑っている。
この食い違いが面白いと思いました。
悲しみを隠すための仮面なのに、
結果として、一番悲しみを強く見せる。
ここから血の燕の形が見えてきました。
18:名無しの読者
呼吸音は?
19:作者
仮面をつけただけでは、まだ燕華なんです。
でも血の燕になる瞬間には、
燕華が燕華でなくなる感じが欲しかった。
それで、
「ヒィィー……シュゥー……」
という呼吸音が出てきました。
言葉を失う代わりに、
呼吸だけが残る。
人物ではなく、
何か別のものが立っているように見える。
20:名無しの読者
ただの村娘どこ行った
21:作者
作者も探しています。
22:名無しの読者
草
23:作者
ただ、ここが重要でした。
血の燕は超能力者ではありません。
燕華の中にある怒りや悲しみ、
自分を壊してでも戦おうとする意志が、
一つの形になったものです。
だから強い。
でも、その強さには代償がある。
24:名無しの読者
公孫炎が止めに来る理由もそこか
25:作者
そうです。
公孫炎は、血の燕を倒したいわけではありません。
燕華を取り戻したい。
だから武器を捨てて、
九節鞭の間合いへ入って、
抱き止める。
そこで初めて、
笑っている仮面の下で、
燕華が泣いていたことが分かる。
26:名無しの読者
「泣いていたのだな、燕華」
ここ好き
27:作者
あの場面を書いてから、
血の燕という存在の意味が、自分の中でも変わりました。
最初は、
燕華が戦うための別の顔でした。
でも、その後は少しずつ、
小羽の残したもの。
燕華の悲しみ。
戦場を見つめる白い顔。
そういう意味が重なっていきました。
28:名無しの読者
仮面そのものがキャラ化してきたやつ
29:作者
最近はそう思っています。
仮面は、ただの小道具ではなくなりました。
置かれている時には、
誰かの葛藤を静かに見ている。
燕華が被れば、
血の燕の顔になる。
人が泣いても、
怒っても、
死んでも、
仮面だけは同じ顔で笑っている。
30:名無しの読者
それちょっと怖いな
31:作者
自分でも、少しそう思います。
小羽の残留思念のようにも見える。
あるいは、
物語そのものを見届けている何かのようにも見える。
でも、そこは説明しないつもりです。
本当に何かが宿っているのか。
燕華がそう感じているだけなのか。
それとも、
読者がそう見ているだけなのか。
そこは決めなくていいと思っています。
32:名無しの読者
作者が決めてないんかい
33:作者
決めないことを決めています。
34:名無しの読者
出たな作者の面倒くさいやつ
35:作者
ただ、その曖昧さがあるからこそ、
同じ笑い面でも、
ある時は怖く見える。
ある時は悲しく見える。
ある時は優しく見える。
ある時は、
何かを見届けているようにも見える。
それが血の燕の仮面の面白さだと思っています。
36:名無しの読者
最初は弟の形見やったのにな
37:作者
そうなんです。
最初は弟が作った仮面でした。
もっと遡れば、
燕華自身が、
漂着した主人公を助けるだけの村娘でした。
それが、
「公孫炎と燕華なら読み切り一本できるやん」
という、かなり安易な思いつきから前日譚を作った結果、
燕華のもう一つの顔が生まれ、
血の燕が生まれ、
白い仮面が生まれ、
その仮面が今では、
『維新示現』そのものを見つめる顔になってきた。
38:名無しの読者
作者の予定から一番遠くまで行ったキャラやん
39:作者
たぶんそうです。
最初から全部計算して作ったキャラクターではありません。
書いて、
考えて、
また書いているうちに、
必要だったものが、
後から一つずつ増えていった。
だからこそ、自分でも予想していなかったところまで育ったのかもしれません。
40:名無しの読者
なお主人公
41:作者
霧島刃にも頑張ってもらいます。
42:名無しの読者
草
43:作者
でも、作品を書いていて面白いのは、
最初から全部決めていたものより、
途中で意味が増えていくものなのかもしれません。
血の燕も、
白い笑い面も、
そういう存在になりました。
今では、
この仮面がなければ『維新示現』ではない。
そこまで来ている気がします。
始まりは、
「読み切り一本、作れるんじゃないか」
くらいの思いつきだったのですが。
創作というのは、
時々こういうことが起きるようです。