『おにぎりの白熊堂 ~ぬいぐるみが繋いだ縁~』
https://kakuyomu.jp/works/822139842033493660
カクコン参加作。
白熊さんとあざらし君が恋人同士になってからの、とある日の話。
黒本はこれを書いている間、GRANRODEOのROSE HIP - BULLETをひたすら聴いておりました。大好きです。またカラオケで歌いたい。
◆◆◆
また、聴かせてもらってもいいですか?
部屋に海豹を迎え入れ、いつものように白熊が、好きな本を選んでいいよと言ってすぐ、海豹は顔を赤らめながら、上目遣いにそう告げてきた。
「聴くって、何を?」
「その……こないだの、雨の日に聴かせてもらった曲を、また白熊さんと聴きたくて……」
雨の日に、一緒に聴いた曲。
それで思い浮かぶのは、白熊がけっこう好きなロックバンドの好きな曲。白熊と海豹はその曲を聴きながら、想いを確かめ合った。今となっては二人にとっての思い出の曲だ。
胸の辺りが温かくなるのを感じながら、もちろんだよと言って、すぐに白熊は準備をしていく。
ラジカセは押し入れに仕舞っているが、CDの入った箱は座卓の上に飾っている。箱のデザインが好きでそうしているのだ。
海豹は本棚の前に腰を降ろす。いつも本を読む時に座っている場所。ラジカセとCDを彼の元に持っていった後、すぐに座布団の用意をした。固い畳の上に直接恋人を座らせるなど、白熊は嫌だった、我慢ならない。
全ての用意を整えた後、CDをラジカセにセットして、電源を入れた。しばらくして、重厚なギターの音が鳴り響く。
満足そうに目を細める恋人の姿は可愛らしく、彼の隣に座る白熊は、そっと恋人の手に自分の手を重ねた。
「ひょっ……!」
「つい」
「変な声が出てしまいました……」
「可愛いから大丈夫」
「……すぐ可愛いって」
顔の赤みが増した海豹は、余計に可愛い。
ほら聴きますよと照れ隠しと分かる声で言われ、そうだねと言って白熊も聴く姿勢になる。元から好きな曲だが、恋人と一緒に聴いていると思うと、余計に好きだと思えてくる。
そろそろ終わりが近付いてくる。ちらりと横を見れば、うっすらと淋しそうな恋人の顔。そんな顔を目にしては、白熊が行動しないわけがなく、すぐにラジカセのボタンを押していった。
「白熊さん?」
「大丈夫」
曲が終わる。本来なら次の曲になるはずが、また、同じ曲を最初から聴くことに。
「リピートにしたから、君がもういいって言うまで、ずっと聴いていようよ」
「……ありがとうございます、白熊さん」
淡い笑みを浮かべて礼を告げてくる恋人に、思わず白熊は彼を抱き締めたくなったが、目を煌めかせて音楽に聞き入る姿を見ていたら、せめて一曲終わるまでは我慢しようと、ぐっと堪えた。
もちろん、終わったらすぐに抱き締めたし、恋人も拒むことなく受け入れる。幸せな時間を、許される限り二人は過ごした。