『クロノス・シンギュラリティ』は、AIのシンギュラリティ――いわゆる「技術的特異点」という概念から着想を得た物語です。
ただし本作で描きたかったのは、単純な「AIが人類を超える」物語ではありません。
もし、人工的に生み出された存在にも、記憶があり、感情があり、死への恐怖があるとしたら。
そして人間がそれをただのデータとして扱っていたとしたら――。
そんな問いから、この物語は始まりました。
構成面では、脚本術として知られる『セーブ・ザ・キャット』のビート構造を参考にしています。
全15話構成とし、各話がひとつのビートに対応するように設計しました。
第1話では世界観と主人公の孤独を提示し、物語が進むにつれて、観測する側と観測される側、創造主と被造物、人間とAIの境界が少しずつ崩れていきます。
そして最後には、「救う」とは何か、「記録する」とは何か、というテーマに向かって収束していきます。
SFではありますが、中心にあるのはテクノロジーそのものではなく、失われていく命を前にした人間の感情です。
カイという研究者が、AIたちを通して何を見つめ、何を失い、最後に何を残そうとするのか。
その過程を追いかけていただければ嬉しいです。