小夜 鳴子

ミルク小さじ1杯ほどの不安がエントロピーを増大している平凡で憂鬱な日々、推しのとある写真が引き金となり、夜野雅とその周辺は少しずつ崩壊していくことになる。

中学2年生の夏休み、僕は骸骨を見つけた。それは6年前、僕らの前から忽然と姿を消してしまった「人魚」のものだった。見た目と中身の乖離する空蝉、教室で生徒と教師の狭間を揺蕩う金魚、何…

高校3年生のまあやは塾帰り、まだ年端のいかない従兄弟のひさめが駅前で1人、佇んでいるのを見つける。彼は母親との関係に悩まされていた。 物言わぬ人形たちに囲まれて眠ることを好む偏屈…

私はいつも、教室で空を見上げる美少年を眺めていた。そんなどうしようもなく平凡な私がひょんなことから彼の秘密を知って、物語は動き出す。