「ククッ、遂に最強の毒を完成させぞ!」
「同志よ、よくやった。詳しい効能を聞かせてくれ」
「うむ、まず相手がどれだけ毒物に抵抗力があっても確実に死に至らしめる。更に食事に混入や武器への塗布は勿論、空中散布でも効果もある。例えミスリルの壁に覆われた部屋に入ったり、防御魔法による抵抗をしても阻止は出来ない」
「其れは素晴らしい」
「更にこれほど強力な毒にも関わらず無味無臭で、成分も全く検出されない。そして遅効性なので暗殺者が立ち去る余裕もある。更に相手は毒による弱体化は自覚出来ず、時限爆弾の様に効いた瞬間に絶命する。最後の時まで毒を盛られたという事にも気付けないので対策も立てようがないという訳だ」
「成程、暗殺向きの毒だな」
「この毒を我々と対立する奴等の土地にばら撒いてやる。彼奴等は毒を撒かれたという事にも気付かずに、一斉に死滅するのだ、ガーハッハッハ!!」
……
「よし、散布も恙なく終了した。奴らが死ぬ迄の僅かの間我々は耐え抜けばいいだけだ」
「うむ……そういえば遅効性の毒という事だが、大体どの位の期間で効くのだ?」
「ククク……我々にとってはほんの瞬きの間よ。次の目覚めの時には我らの時代が始まっているだろう」
「そうか、では其の時まで眠って待つとしよう」
ZZZZZ……
……
そして彼ら、エルフ族は対立相手の人間族が毒で死滅する迄1,000年程の浅い眠りに入った。
遅効性の毒は彼らにとって瞬きの間、200年で効く……寝て起きる頃には人間は全滅している筈だ。