「転生したら平民でした。〜生活水準に耐えられないので貴族を目指します〜3」
本日発売となりました!!
皆様のおかげで書籍3巻を発売することができ、本当に本当に感謝しております。書籍をご購入してくださっている皆様、ありがとうございます!
3巻はweb版と大筋こそ変えていませんが、展開などはより面白くなるようにかなり改稿しておりますので、web版が既読の方にも楽しんでいただけます。
王立学校ではweb版にはいないキャラが登場したり、(下に添付しているカバーイラストのステイシー様の後ろにいる女性です!この物語にはあまり登場していなかった、かっこいい女性キャラとなっております。私はめちゃくちゃ気に入っているので、皆様にも好きになってもらえたら嬉しいです。名前やどんな人なのかは書籍でお楽しみください!)
ミシュリーヌ様が大活躍したり、(web版よりミシュリーヌ様が頑張っています!ただポンコツな部分はやはり残っていますが……まあ、そこがなくなったらミシュリーヌ様じゃないですよね笑)
番外編ではロニー視点のお話があったり、(ロニーがレオンのことをどう思っていたのかが少し分かると思います!ロニーはかなり気に入っているキャラなので、今回イラストにしていただけて本当に嬉しいです)と盛りだくさんの内容となっております。
ぜひぜひ、お手に取っていただけたら嬉しいです!!
まだ1巻と2巻がお手元にないという方がいらっしゃいましたら、この機会にまとめて楽しんでいただけたらと思います。年末年始のお供にぜひ✨
ではそろそろ書籍の宣伝は終わりにして、ここからは3巻の発売を記念したSSを楽しんでいただけたらと思います!
SSは書籍2巻の後半に出てきた、王立学校入学試験の面接官視点です。面接官から見たレオンの様子をお楽しみください!
※このSSは書籍2巻の内容に基づいているので、web版とは異なります。ご了承ください。
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最後の受験者である少年が部屋から出て行ったのを見送ってから、部屋の中に残った男性二人は大きく息を吐き出して体の力を抜いた。王立学校入学試験で面接の試験官を務めた男性達だ。
「なんか疲れたな」
「分かる。途中の子がインパクト強すぎて、その後の子達の印象が全く残ってないよ」
「俺もだ」
男性二人は机の上に置かれている紙束の中から、二番目に面接をした受験者のものを取り出した。
「こいつだ、レオンって名前の変な平民。こいつ……合格にするのか?」
「それは……合格にするしかないでしょ。だって筆記試験は満点で、面接も礼儀作法・敬語ともに満点。これで落としたら平民差別だって言われるよ。さらにタウンゼント公爵家の後見付きだよ?」
優しげな風貌の男性が発したその言葉に、無表情で少しきつい容姿の男性が曖昧に頷いて椅子の背もたれに体を預けた。
「そうだよなぁ。でもさ、大丈夫なのか?」
「まあちょっとね、やばい子かなとは思ったけど……でも家族愛だって言ってたし大丈夫でしょ」
「家族愛で妹のことを天使だとか世界一可愛いとか、そんなこと言うか? 家族の話をしろっつってるのに、途切れなく捲し立てるように最初から最後まで妹の話だぜ? 両親もいるのに一言も出てきてないぜ?」
男性二人はレオンがマリーを褒め称えた話の内容を思い出したのか、微妙な表情を浮かべて顔を見合わせた。
「まあ、そういう人も……中にはいるんじゃない?」
「お前は妹いたよな? 妹は世界一可愛いか?」
「まあ、可愛くないことはないけど……カフェのアイちゃんの方が可愛い」
「そうだろ? あいつ心配だなぁ。妹に付き纏って犯罪者で捕まったとかになったら、合格させた俺らも責任を問われるぞ」
男性が発したその言葉によって、面接のために使われた特別食堂の一室には沈黙が流れた。男性達は王立学校の職員で貴族ではないので、この学校では立場が弱いのだ。
「でもさ、不合格にさせる理由がないよ。これで不合格にしたら公爵家から絶対に文書が届くだろうし、そこで明確な理由がないって分かったら俺達は終わりだよ」
「……確かにそうだな。じゃあやっぱり合格にするしかねぇか」
「そもそも合格基準は余裕で満たしてるからね」
優しげな風貌の男性は、そこまで話をするとレオンの面接結果のところに合格と書き込んだ。評価はもちろん最高評価だ。
「入学してからしばらくは憂鬱だな」
「そうだね……あっ、でも大丈夫じゃない? 実家は王都の外れって言ってたから、妹さんとは物理的に距離が離れるでしょ」
「……確かに。それは朗報だ。俺達が理不尽に職を奪われることはなさそうだな」
「良かったね。また来年度も頑張ろうか」
「ああ、そうだな。来年度は王子殿下と王女殿下がご入学されるし、公爵家の子息もいらっしゃる。大変な一年になりそうだ。それにあのレオンとかいうやつも、公爵家所属なんていう前代未聞の立場だしな」
年によっては高位貴族が二、三人しかいなかったり、珍しいと一人もいない時もあるのだ。それに比べたらレオンと同い年の貴族はかなり多い。理由の一つは、ステファンとマルティーヌが生まれた年だからというのが大きいだろう。
王族の結婚があると子供ができることを見越して、王子や王女とお近づきになるために自分達も子供を作る貴族は多いのだ。
「来年度はとにかく問題を起こさないように頑張ろうか」
「そうだな。俺達はもう野心なんてないしな」
「職員の中には、王子殿下や王女殿下に恩を売りたいって考えてる人もいるみたいだけどね。僕は今の立場が平和で良いや」
「俺もそうだな。そこそこの給金をもらえてるし」
男性達はそこまで話をすると、書類をまとめて立ち上がった。そしてまだ残っているたくさんの仕事をこなすために、職員に割り当てられている一室に向かった。
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SSは楽しんでいただけたでしょうか。
あの伝説? とも言えるレオンの面接を試験官達はどう思っていたのかでした。あの話を書いた時から試験官視点も書きたいなーと思っていたので、今回書けて楽しかったです。
では改めまして、書籍3巻をよろしくお願いいたします!
いつも応援ありがとうございます。皆様が日々私が書いた物語を読んでくださっていること、それから皆様がくださる感想やコメント、評価などがとても励みになっています。
これからもよろしくお願いいたします。
蒼井美紗