「神に転生した少年がもふもふと異世界を旅します」
本日発売となりました❗️
書籍の発売日を迎えるのは今回で三度目なのですが、毎回とてもドキドキしています。少しでも多くの皆様にお手に取って楽しんでいただきたい! と毎回祈っています。
自分で言うのも微妙かもしれませんが、本当に面白くて完成度の高い一冊となっておりますので、ぜひお手に取って頂けたら嬉しいです!
書籍の帯にもあるように、web版からは六万字以上の大幅な加筆修正をしました。書き下ろしの番外編も収録されています!
新しいキャラクターがいたり新たなイベントが追加されていたり、設定の甘かったところがしっかりと作り込まれていたり、そうしてよりメリハリのある一冊に仕上がっております。
しかしweb版の良いところはそのまま残してあります。もちろんミルはめちゃくちゃ可愛いです。ここ、私的には一番重要です笑
ぜひ皆様も小説をお手に取り、この物語に入り込んで楽しんでいただけたら嬉しいです。読んでくださった方は、書籍の感想も遠慮せずに送ってください!面白かったと言っていただけるだけで、作者はめちゃくちゃ喜びます✨
それから成瀬ちさと先生が描いてくださったイラストですが、ほんっっとうに素敵です。表紙はもちろんですが、カラーのイラストも白黒のイラストも全てが素敵なのでそちらも物語と一緒に楽しんでください!
私は毎日眺めています。そして執筆の糧にさせていただいています。
では宣伝はこの辺で終わりにして、この先は書籍発売を記念してSSを書きましたので、楽しんでいただけたらと思います。
タイトルは「もふもふ品評会」です。
別作品のキャラクターも登場する何でもありの話になっていますが、気軽に楽しんでください。もふもふを集合させたい! という私の願望を実現させてしまいました笑
ではどうぞ、お楽しみください!
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とある異空間で数ヶ月に一度だけ開催される幻の祭りがある。その名は……もふもふ品評会だ。俺の、私のもふもふこそが世界一だ! と自信のある猛者が集まり、その毛並みの素晴らしさやもふもふと相棒との仲の良さを競うのだ。
そんなもふもふ品評会が今日まさに開催されている。参加者は五組。しかし既に三組は脱落しており、残った二組での一騎討ちとなっている。どちらも素晴らしいもふもふで甲乙つけ難く、観客の意見も完全に二分しているようだ。
「ミル、小さくなっておいで」
「はいっ!」
――おおっと、ミル選手が体を小さく変化させ、トーゴ選手の胸の中に飛び込んだ! 全力で振られたふさふさの尻尾に、短い手足を必死に伸ばしてトーゴ選手の顔を舐めているその動き、全てが完璧だ!
「か、か、可愛すぎる……!」
――観客でもあまりの可愛さに、倒れる者が出ているようだ。やはりこれはトーゴ・ミル、ペアが優勢か。
いやっ、ここでレオン・ファブリス、ペアも反撃だ! ファブリス選手の背中にレオン選手が乗り、会場を駆け回り始めた!
「ファブリス、全力でジャンプ!」
『相分かった』
――ファブリス選手、これは大ジャンプだぁ! のんびりと日向ぼっこをしている普段の様子からは想像できないほどに俊敏な動き、これはギャップに萌える者も多いのではないだろうか!
「ミル、俺達もカッコ良いところを見せよう」
「はい! 何をしますか?」
「俺が撃ったウォーターボールをミルが爪で切り裂くのはどう?」
「やります!」
――次はトーゴ・ミル、ペアが何か攻撃をするみたいだ。二人が距離を取り……おおっ、トーゴ選手がウォーターボールを放ったっ。凄い勢いだ! これはミル選手、絶体絶命のピーンチ!
と思ったらミル選手、ウォーターボールを切り裂いたぁぁぁ! 水飛沫の中から現れるミル選手のキリッとした表情が可愛すぎる……!
「ミル、カッコ良かったよ」
「トーゴ様、ありがとうございます!」
「ははっ、ちょっとミル、くすぐったいよ」
――ミル選手がトーゴ選手に飛びつき、フサフサの尻尾を高速で振りながら顔を舐めています! トーゴ選手が大好きなことが一目見るだけで伝わってくるその姿、感動的なまでの可愛さです!
これは決着がついたか……はい、決まりました! 優勝はトーゴ・ミル、ペアです!
品評会の会場には観客の歓声が響き渡り、トーゴとミルを讃えるファンファーレが鳴り響く。レオンとファブリスの健闘を讃える声も多くあるようだ。
「ミル、俺達が優勝だってよ」
「本当ですか! えへへ、嬉しいですね」
全身で嬉しさを表現するように尻尾を振っているミルを、トーゴが優しい笑みを浮かべて撫でている。
「ファブリス、負けちゃったみたいだよ」
『まあ仕方あるまい。それよりもご褒美が欲しいぞ。頑張ったらスイーツの約束だろう?』
「ははっ、分かったよ。ファブリスは本当に食いしん坊だよね」
レオンがアイテムボックスから取り出したいくつものホールケーキを前に、ファブリスはご機嫌に尻尾をゆらめかせた。
『素晴らしい眺めだ。ではいただこう』
「俺も何か食べようかな……シュークリームにしよう」
二人がご褒美のお茶会を始めた横で、トーゴとミルも美味しそうなスイーツを前にお腹を鳴らしているようだ。
「ミル、俺達も何か食べようか」
「はい! 僕はカレーが食べたいです!」
「了解。じゃあカレーとパンにしよう」
こちらは甘いものではなく食事を始めるみたいだ。カレーの強い香りが品評会の会場全体に広がる。
『む? 美味そうな香りがするな。香辛料というやつに似てないか?』
「こ、こ、これはカレーじゃない!?」
レオンとファブリスは、トーゴとミルが食べているカレーに釘付けになっているようだ。レオンはしばらくカレーを凝視すると、ふらふらっと立ち上がってトーゴの下へ向かった。
「あの、トーゴさん? それってカレーだよね?」
「そうだけど……食べたい?」
「食べたい!」
「ははっ、凄い勢いだ。じゃあ器を出してくれたらよそうよ」
「マジでありがと。じゃあお礼に……ファイヤーリザードの串焼きあげる。この肉めちゃくちゃ美味しいから!」
レオンが差し出した巨大な器にトーゴはカレーをたっぷり盛り付けて、レオンは巨大な皿に数十本の串焼きを載せてトーゴに渡した。
「カレーだ……本当にありがとう。大切に食べるよ」
「こっちこそありがと。この串焼き美味しそうだ」
そうして二人は食事を交換し、それぞれの相棒の下へ戻った。そして交換した食事をさっそく楽しむ。
「ファブリス、これがカレーだよ!」
『これは……美味いな。主人、もっと食べたいぞ』
「だめ、これは大切に食べるんだから。いつか香辛料を組み合わせて作ってあげるからそれまで待ってて」
レオンは幸せそうな表情でカレーを口に運び、ファブリスはあまり量をもらえなかったことに拗ねて、またホールケーキを口にした。
「ミル、この串焼き美味しいよ」
「本当ですか? ……っ、このお肉が最高ですね!」
「やっぱりそう思う? これは滅多にお目にかかれないほどの肉だなぁ」
「僕達の世界にもこのぐらい美味しいお肉があると良いですね」
「それを見つけることも目標に加えようか。ダンジョンにはいるんじゃないかな」
「五大ダンジョンの奥とかにいるかもしれませんね!」
二人はそんな話をしながら、満面の笑みで串焼きを口に運んでいる。美味しくて食べる手が止まらないみたいだ。
それからは観客にもレオン・トーゴ両名から美味しい食事が提供され、今回のもふもふ品評会は誰もが幸せな気持ちで終わりとなった。
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SSを読んでくださった皆様、ありがとうございます。
この話に出てきたトーゴ・ミルが活躍するのが本日発売の「神に転生した少年がもふもふと異世界を旅します」です。
もふもふに癒される場面もありつつ、しっかりと冒険要素もあるファンタジーです。ぜひ書籍の方もお楽しみください✨
では今回はこの辺で失礼いたします。いつも応援ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします!
蒼井美紗