この秋、私こと天野月影は無事成人しました。
ここまで生きられたのは偏に家族の愛情と自分の運のお陰なのだろうと思っています。
私は昔からとても出来た息子では無く、常に両親の手を煩わせておりました。
私は運動面においても勉強面においても、常に平均以下の成績であり、私には自慢できる強みというものがありませんでした。
ですが成長していくにつれて、私には師と呼べる人と出会いました。
新しい価値観に触れ、新しい視点で物事を考えられるようになりました。
自分の好きなものを大事にして、点数表記が出来ない、限界が計り知れない芸術の世界に足を踏み入れる勇気が湧きました。
友達が出来ました。
誇れるものが出来ました。
尊いものを学びました。
まだ人生というものを語るにはあまりにも若い年齢ですが、それでもそれなりに成長できたかと思います。勿論良い事ばかりではありません。寧ろ、私の人生の大半が苦しい出来事でした。
喧嘩をしてそのまま疎遠になった友達が何人も出来ました。
どうしても相いれない人とぶつかる事もありました。
冤罪でイジメられたりもしました。
ですが、今ではこう言えるのです。「全て私の血肉となった」と。
全てが私の為に起こって、そう気づかせてもらった今、全ての事象に対しての感情が感謝の言葉となったのです。
勿論、全てを受け入れろという意味ではありません。どうしても許せなかったら怒って良い、仕返ししてもいい、やり返しても良い。
大切なのは、そこからどう学んだか。それが重要だと私は思うのです。
自分はまだ青二才です。だから、これからも誰かの手が無ければ生きていけません。いつか自分もその手の一員になれたならば良いなと思っています。
悲しい事があって、それでも嬉しい事もあった。
裏切られて、失って、それでも得たものもありました。
その連続の上に私は立っています。苦しみと喜びが私を形成しています。
――私は今日、十八歳になりました。
おめでとう、自分。