こんばんは、天井萌花甲子園主催のあまいもかです。
さてさて、5月から動いていたこの自主企画、とうとう結果発表が終了しました!
Twitter連動企画である読者推薦賞とベストレビュアー賞に関しては、Twitterをご確認ください。
まずはビギナー賞から発表です。
「学生さん達の“はじめの一歩”を応援したい!」そんな想いで生まれたこちらの賞、想像を超える沢山の応募があり、本当に嬉しかったです!
本当に初めて!? と驚くような良作ばかりで、本当に悩みました。
参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました。
その中から、一番多く審査員の支持を得て、ビギナー賞に輝いたのは……!?
心沢みうら様作『オレンジ』です!!
https://kakuyomu.jp/works/16818093075878872736おめでとうございますー✨
以下、審査員からの一言褒め感想&審査委員長、相坂からの長文感想になります!
天井萌花
会話の内容や口調の等身大感がすごくて、リアリティのある作品だなと思いました。
私のも勘違いだったらいいのに。というサブタイが刺さります、痛い。
センスの良さを感じる素敵な作品でした!
夜海ルネ
心情描写が巧みでした。読んでいて胸が痛くなるような苦しみが伝わってきて、社会的マイノリティという立場であってもそうでなくても思わず主人公と同じような苦い味を覚えずにはいられませんでした。
白玖黎
最後までしっかりと丁寧に描かれ、かつ主人公に共感できる作品でした。
光るものを感じたので今後も頑張ってほしいです!
夏希纏
ヒロインと主人公の距離の遠さ、普通になれないことの葛藤や苦しさがうまく表現されていて感銘を受けました。短編小説として読み応えもあり、これが2作目とは信じられません。これからも物語を書き続けてほしいな、と思います。
西影
終わり方が印象的なお話でした。結果で言えば幸せな結末でありながらも、心中はほろ苦い、複雑な気持ちが物語として描かれています
結城綾
着眼点に独自性があって良い。思春期の少女が持つファッションじみたアイデンティティの表現に、リアリティがある。ビギナー賞に適した小説だと思い、本作を選出した。
相坂
まだ未発達な思春期の少女たちの中には、分かりやすいアイデンティティーとして、同性愛者などの性的少数者を自称する者たちがいる。
少数派という物は、それだけで希少価値になり得る。少数派というドレスを着ていれば、それだけで自分が世間から逸脱した存在であると錯覚できる。そして彼らは、その逸脱こそを誇りだと考えているのだ。
自らが世間的に少ない存在であればあるほど、珍しい存在であればあるほど、自分は他の人が持っていない物を持っているのだと、自分は優れているのだと、そう思い込む。
男ができれば両性愛という誇りを捨てて、また「男がいる」という誇りに鞍替えするというのに。
だが現実は、文字で置くほど残酷ではない。
この物語では、主人公は自称両性愛者の友人に恋慕している。対してその友人は、ただのアイデンティティとして、両性愛者を騙っている。二人が最終的に結ばれることはないし、もし仮に結ばれても、彼女は主人公を好きになることができない。この百合は最初から枯れているのだ。
主人公の心情について理解した気になるのは簡単なのだろう。どうせ口だけなのにと悲観していても、内心では少し期待してしまう。相反する感情を、吐瀉物として
でも吐きだせればまだマシだ。あるいは、吐き出したいことの現れがこの「吐瀉物」という表現なのかもしれない。
なんにせよ、良く出来た物語だった。今回書くことになったのは、選考を通しての基準などを前提とした選評ではなく、物語を読んだ際に抱いた感想だという。
内容について語れるほど、私の少数派としての知見は多くない。また、これまでそうした少数派への理解を深めようと思ったことはなかった。だから正直なところ、初読からずっと、感情的なアプローチという物ができないままでいる。
しかし物語単体として見て、私立中を受験した少女としての地の文、さらにその内面の葛藤など、少なくとも私の見てきた「少女」としてのかつての物と照らすなら等身大であり、真に迫っているように感じた。そこが大賞に推したかった理由であり、今こうして長文を書いている理由でもある。