沙原芥子

大事な人の愛が離れていく……そんな瞬間に頭をめぐる考えは？　SNSアカウントの特定、理想像への執着、崇拝といえるまでの愛。詩的表現のなかに少女の想いを混ぜ込みながら曖昧な境界線で…

村の戦士カリトゥカを失った祈祷師は、土地を襲った異国の男が瀕死で倒れているのを見つける。信仰は消え、敵は弱り、守るものはなにもない……大切な存在を失った者と死を待つ者とのあいだに…

旧人類である「ぼく」と、美しく賢い種《ファノイ》である友人の「きみ」。「おとなになったファノイを見たことがあるか」…… ある夜「ぼく」は「きみ」からファノイの真実を知らされる。

田舎に生まれた少女の死生観。鬱屈とした街の湿気、衰退という一種の美を、世界の匂いに敏かった頃を思いながら書きました。