最近読んで面白かった本がジョディ・アーチャー&マシュー・ジョッカーズ著『ベストセラーコード』(日経BP社)
計量文献学を基本に多くのベストセラーをコンピュータ分析して『売れる理由』を解析したことについて書いている本です。
基本、アメリカの売れ筋についての分析なんで、そのまま日本に応用できるモンではないのですが、普遍的で役立ちそうなことも書いてあったりするんで、興味がある方は読んでみるとよいかと。
ざっくり、私の心に引っかかった内容を書き出してみると以下のような感じ。
「最初の40語で350ページがプレビューできるといい」
「始まりの一文が大事」
「文章はシンプルで分かりやすい方がいい」
「凝った表現にしようとするのは自爆」
「硬い文章より親しみやすい文章の方が売れる」
「!は使うな」
「テーマは絞れ」
などなど。
このあたり、書き出してみると意外に平凡だったりするのですが、売れるモンってそんなモンよね(笑)。
あと、ストーリー展開の起伏とかで売れるパターンとかも書いてあります。
なお、アメリカのベストセラーだと「ファンタジーやSFは売れない」そうです(笑)。
ただ、これを読んで思ったのが「ツギクル」はこれを狙ってるんだな、ってこと。
玉石混交だろうが何だろうが、たくさんWeb小説を集めて解析して、売れそうな物がはじき出せないかとやってるんじゃないかと。
あと、実は「カクヨム」もそれなんじゃないかな、とか思ったり。
以前にカクヨムに載ってた『カクヨム怖い』というエッセイ(今見つかりません)で「カクヨムは角川がビッグデータを集めるために作った」みたいな説を読んだことがあるんですけど、ビッグデータもさりながら、Web小説をとにかく集めて、密かにコンピュータ解析して、売れそうなのを拾い出そうとしてるんじゃないかな、とか思ったり。
何しろ、ツギクルの方には、そもそもベストセラー解析できるだけの書籍データがあるのかどうか、という問題があるのに対して、角川には少なくともラノベについては、ファンタジア文庫やスニーカー文庫といった、90年代からベストセラーもそうでないのもテキストデータを山ほど蓄積してるわけですから。もちろん、ラノベ外ベストセラーも多く持ってますし。
日本にだって計量文献学の研究者は居るわけで、そういう人たちを雇って日本語での解析アルゴリズムを作れたとしたら、書籍データが多い方が解析に有利でしょう。
今こうしている間にも、クラウドの彼方でコンピュータが山ほどあるカクヨムの小説を解析して、売れそうな作品を探しているのかもしれませんね。