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特級ギルドSS

8月になりましたね!暑くなってきましたがみなさん体調崩さないように注意ですよー!(*´∀`*)

さて、一巻も発売からもうすぐで1ヶ月となりそうです。おかげさまで2巻も出ますよー!°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°
ありがとうこざいます!こちら、また詳細は追ってお知らせいたしますー!

ここらで、一巻に収録されていた素晴らしい口絵を元にした短編をここで掲載したいと思います。
イラストを見つつお楽しみいただけたらな、と思いますのでよろしければ読んでみてください!




「ティーパーティー」


「ティーパーティーをするわよー!」
「ティーパーチー?」

 お昼寝から起きて、ギルドの喫茶スペースにてボケっとしていると、サウラさんが嬉しそうにそう声をかけてきた。向かい側に座るシュリエさんがクスッと笑って口を開く。

「お気に入りの店の新作でも手に入れましたか?」
「ふふ、残念。新作じゃないのよねー。でも、前から一度は食べてみたいと思ってたケーキが手に入ったの! 数量限定販売で、予約が何十日も先まで埋まってて、なっかなか取れなかったのよ。それが、今日届いたの!」
「ケーキ、でしゅか?」

 甘いものが大好きな私としては聞き逃せないワードである。思わず身を乗り出して聞いてしまう。サウラさんとシュリエさんの二人に笑われてしまった。くっ、仕方ないの!

「そうよ。シュベリーやほかのベリーがふんだんに使われたケーキ。スポンジやクリームも所々ピンク色で、どことなくメグちゃんっぽいケーキなのよ。でもこれ、ホールでしか売ってなくって。一人じゃ食べきれないし、みんなで食べた方が美味しいと思うから、メグちゃんやシュリエも一緒にどう?」
「いーんでしゅか!? 食べたいでしゅっ」
「ふふ、それはありがたいですね。ぜひご相伴に与りましょうか」

 人気のイチゴケーキと聞いたらそりゃ食べたくもなるというもの。私は喜んで両手を上げてしまった。ごめんなさいね、欲望に忠実で。

「今厨房の冷蔵魔道具の中で冷やしてあるのよ。じゃ、ちょっと持ってくるわね!」

 そう言ってサウラさんはポニーテールを揺らして一度その場から去っていった。うーん、楽しみだなー!

 シュリエさんとウキウキ待っていると、仕事から戻ってきたであろうケイさんがこちらにやってきた。それからニコニコと収納魔道具から何やら箱を取り出して見せてくれる。

「やあこんにちは。メグちゃん、シュリエレツィーノ。実は今日、女の子から焼き菓子を貰ってきたんだ。たくさん貰ったから、一緒に食べないかい?」
「焼き菓子? ふわぁ、いろいろあって、おいししょー!」
「おやおや、これは本格的にティーパーティーになりそうですね」
「んー、どういうことだい?」

 首を傾げるケイさんに、シュリエさんがさっきのサウラさんの話を説明してくれた。それは楽しそうだ、と乗り気になったケイさんは、それならお茶も準備しなきゃね、とその場を去って行った。で、出来るイケメンだ……!

「うう、おいししょー……でも、食べたらケーキ、食べられなくなるかなぁ……お夕飯もあるし」

 テーブルに並べられた焼き菓子たちは「私を食べて」と言わんばかりに私を誘惑してくる。う、ヨダレがぁ。

「ひとつくらいならいいだろう」
「ギルしゃん!」

 そこへ、背後から声をかけてきたのはギルさん。お仕事終わったのかな? ギルさんはフードとマスクを外しながら私の隣に座った。

「せっかくこんなにあるんだ。おあずけも辛いだろう?」
「それもそうですね。今日は特別、ということにしましょう。でも、食べ過ぎはダメですよ?」
「あいっ!」

 今日は特別、という甘い言葉にあっさり屈する私。ビシッと手を上げて元気に返事をしました! ちょうどそこへ、ケイさんが先に、私用だというオレンジジュースを置きに来てくれた。ストローが途中でハートになってて可愛い。

「サウラディーテも、先に食べていていいって言っていたよ。メグちゃん、好きなのをどうぞ」
「え、いいんでしゅか?」
「もちろん。メグちゃんが嬉しそうならこれ以上ないくらいボクも嬉しい」

 なんという殺し文句だ。もちろんあっさり屈服した私は、チョコのかかったドーナツを選んで手に取った。ドーナツなんて久しぶりだぁ! さっそく一口。んーっ! うまーっ!

「おぉ、うまそーな匂いしてると思ったら!」
「ああ、ジュマ。今からティーパーティーをするのですよ。ホールケーキだと言ってましたし、ギルは甘いものは食べないでしょうし……きっとジュマもどうぞ、と言うでしょう」
「え、マジ? いーの? いつもは金払えとか言われるのに。でも食うけどな!」

 私がドーナツをモクモク食べていると、通りかかったジュマくんが当たり前のように席に着いた。うん、この人は断られてもめげずに食べる気がする。それでこそジュマくんである!

「はいはーい! お待たせ! シュベリーのケーキよ!」
「ハーブティーも入れてきたよ。わ、美味しそうだね、サウラディーテ」

 とその時、ケーキのお皿を持ったサウラさんとティーポットを持ったケイさんが一緒に戻ってきた。

「ふわぁっ」
「これは、美しいですね」
「うおー! うまそー!」

 イチゴケーキの登場にそれぞれが歓声をあげた。イチゴはもちろん、ベリーのひとつひとつが宝石みたいにキラキラしていてとっても綺麗だし、クリームがたっぷりですっごく美味しそう! 思わずポカンと口を開けたまま凝視してしまった。

「メグ、口の周りに……」
「あうっ」

 どうやらドーナツのカケラが口の周りについていたようだ。さりげなくそれを取ってくれるギルさん、まじイケメン。そして甲斐甲斐しい。お、お世話になります……!

「んー、なんだか切るのがもったいないね」
「でも、切り分けなきゃ食べられないわ!」

 誰もがナイフを入れるのを躊躇していたというのに、サウラさんはなんのその、あっさり入刀してしまった。い、潔い! 思わずああっ、と声を上げてしまった。でもケーキをカットした断面もすごく綺麗だったからまたしても吐息を漏らしてしまう。なんて単純なの私。だって、ピンクのスポンジやフルーツ、白いクリームが層になってて見た目にも楽しめちゃうんだもん。

「さ、みんなで食べましょ」
「はぁーい!」

 みんなのお皿にケーキが行き渡り、サウラさんも席に着いたところでさっそく実食! サウラさんの号令でみんながケーキを一口。それぞれの頰が綻んで、その表情は幸せ色。もちろん私もさぞや締まりのない顔をしていることだろう。

「ギルしゃんも。一口だけ!」
「い、いや、俺は……」
「でも、おいしーよ? あいっ、あーん」
「! ……わ、わかった」

 ギルさんが甘いの苦手なのはわかってるんだけど……せっかくだもん、一口くらいはと思ってフォークをギルさんの口元に運ぶ。すると、戸惑いながらもギルさんは口を開けてくれたのでそのまま入れてあげた。ほんのり耳が赤い。子どもみたいなことさせちゃったからかな? なんかごめん。私、何にも考えてなかったよ。

「……うまいな」
「! でしょ? よかったぁ!」

 でもほら、美味しいとの感想がきたからオールオッケー! 見た目に反して甘さも控えめだからいけると思ったのだ。でも、一口で十分だっていうからやっぱり甘いのは苦手なんだろうな。美味しいを少しでも共有したかっただけなので、満足である。完全な自己満足!

「……メグにあーんしてもらったからでしょうねぇ」
「いつもは絶対食べねーのになっ!」
「んー、羨ましいよ、ギルナンディオ」
「ずるいずるい! メグちゃん、私にもあーんしてぇ!」

 なにやら皆さんが騒いでいる。はい、サウラさんもあーん。すると、みんなが自分もと言い始めた。あーんとか、されることないもんね。やっぱ、私が幼児だからやってもらいたくなったのかな? 否やはないので順番に口に運んでいく。シュリエさんもケイさんも嬉しそうに特別美味しい、と言ってくれた。えへへ!
 ジュマくんだけは「あん? 別に美味しさは変わんねーぞ? どのみち美味い!」と言っていたけれど。そりゃそうだ!

 木漏れ日射し込むギルドの喫茶コーナーの片隅で、私たちはとっても賑やかで幸せなひと時を過ごしたのでした! 夕飯? す、少しは食べたよ! 
 



少しでも、お楽しみいただけますように。

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