**1. 前景、ルール**
「ったく、なんであたしが説明しなきゃいけないのー?めんどくさーい!」
ほぼ現代に近いハイテク世界。
ここは超能力者がいる世界。人類が異能に目覚め始めたのは百年前。単能者と、希少な双能者に分かれる。どちらも少数の異能群体で、残りは普通の人間。
最初は、普通の人間と超能力者は平穏に共存してた。でもだんだん、普通の人間は恐怖と嫉妬を募らせて、異能者の力を恐れるようになって、大規模な狩りと粛清を始めた。
血みどろの虐殺は数十年続いて、たくさんの異能者が無残に死んで、生き残った者はごくわずか。すっかり世界の希少な存在になっちゃった。
超能力者狩り。
力への恐怖こそ、最高の悪意。
弱い者は力を制御できないから、力を持つ者を滅ぼすことを選ぶ。自分の心の平穏と引き換えに。
なんて自分勝手で、なんて卑劣なんだ。
でもその後、生き残った超能力者たちはもう我慢しないって決めて、いくつもの勢力を組んで反抗を始めた。同時に、他の超能力者たちも生き残る望みを見出して、自分から人間側に接触して弱みを見せ、反抗者たちを倒す手助けをすると申し出た。
人間は最終的にそれを受け入れた。
なんて両得な方法だろう。
だからこの世界には二派の超能力者がいる。「光明」と「暗潮」。
光明は公式に組織された超能力者派閥、暗潮は反抗群体。
光明に入れば確実に生き残れる。暗潮に入れば運次第。
正直、どっちも間違ってないと思う。どっちも「明日も生きる」ために選んだ、違う道なんだ。
これが———罪深い世界。
でも思うんだ。この世界で、あたしもまた罪深い存在なのかもね~?
だって、あたしには三つの超能力がある。
三つの能力。
世間で最も希少な双能力者をはるかに超える。
唯一無二のトップ異能体。
希少、強大、唯一無二。
異能が狂ったように狩られ、細々と生き延びるこの世界で、これは天赋なんかじゃない。命取りの札だ。
強い力を持つほど、狩りの標的になりやすくて、非業の死を遂げやすい。
こんな基本常識すら分からないなら、この世界で生きていけるはずがない。
普通の人間は能力者を恐れ、超能力者を憎む。
そしてあたしは、この世界で最も存在してはいけない異物だ。
「だからさ~また神さまに騙されたんだよね。」
幼い子供の声、それがあたし———白朽 栖遐。五歳。
ぶらぶら揺らしてた両足を止めた。実は攣っただけ。言いにくい!
「あれ?なんで足を揺らすのやめたの?」(揺らすと気持ちいいって言ってたじゃん)
神さまが首をかしげて、無邪気な顔であたしを見る。
『もう!神さまったら、何億歳のおじいちゃんなのに、なんで子供ぶってるのさ——!』
まるであたしの方が大人で、神さまの方が子供みたい。
実際の年齢はもう成人してて、二十七歳に近いんだけど。
はっ、幼稚だなあ、神さま。飴でも買ってあげようか?
「ふはっ、神さまは相変わらずユーモアがあるね。飴食べる?」
そう、実際に口に出してしまった。でも神さまならきっと、にこにこしながらこう答えるはず。
「あ!本当にいいの!やったやったやった!食べたい!」
ほら、言った通りでしょ?だからあたしの判断力、信じてよね。マジで。
「ふーん?」
目を閉じて軽く首を振り、着替えのために試着室へ向かう。
着替えと言っても、簡単な白いワンピースを着るだけ。
いたって普通。
実は、今はまだ能力に目覚めてない。もちろん、口を開けば十秒で欲しいもの全部手に入るなんてこともない。
ああ、実はお嬢様でいるのも悪くないよ~~~~
でも正直、転生したばかりの頃は、本当に「金のスプーンを咥えて生まれる」人生のスタートを満喫した。
本当に、本当に最高、すごい、超、超気持ちいい!
まだ何もできない赤ん坊だったけど、成人の理性を持つあたしは感動のあまり涙ぐんだ。まあ、やっぱり少し居心地が悪いけどね、昔は貧乏暮らしに慣れてたから。
ふんふんふん!お嬢様にしてくれたなら!前世二十六年の苦しい生活を全部金の力に変えてやる!
あはははははははははは——!
「おばちゃん、いちごソーダのペロペロキャンディ五本、お願いします!」
真夏の日差しの中、神さまを連れてこっそり壁の隅の犬用の穴から抜け出して飴を買いに来た(大丈夫、あたし以外誰にも神さまは見えない!安全!)
あたしの動作は異常に乱暴で、少しも「お嬢様」らしくない。
「小栖ちゃん!そんな乱暴にしちゃダメだよ!知ってる人に見られたら面倒でしょ!ちゃんとお嬢様らしく!」
「ん?なんでイメージを気にしなきゃいけないの?」
あたしはのんびり歩いてるのに、神さまを「一街」置き去りにした。神さまはやっと追いついて、「はぁはぁ」息を切らしてる。
「お嬢様だからだよ!お嬢様なら『お嬢様』らしくしなきゃ!」
お、お嬢様?
ああ。別に気にしてないみたい。
振り返って、全然イメージになってない大声を出す神さまを見る。
首をかしげる。
「お~そうなの?でも神さまと比べたら、神さまの方がよっぽど『乱暴』に見えるけどね!」
言い終わると足元に雲が生えたみたいに、すごい速さで走る。
神さまは後ろで怒って「がわぁじわぁ!」と変な声を出す。
「こ、小栖ちゃん!待って、待ってよ!これは小栖ちゃんのタンスの最後の軽い服なんだから!ゆっくり走ってよ——!」
ちっ、挑発か!
ただあたしを止めて神さまを待たせたいだけ。
「神さま、ダイエットした方がいいよ~☆♪~!」
「やい!だ、だ、ダメー!」
###- -
やっと!
あたしより少し高い透明なショーケースの奥で、風鈴が突然鳴った。渋くて美しい顔がひょっこり出てきた。おばちゃんだ。
おばちゃんを見て、神さまの言う「お嬢様」らしい「微笑み」をきちんと浮かべる。
「おはようございます、おばちゃん。今日も商売が繁盛しますように!」
実は神さまとこっそり抜け出すのは初めてじゃない。
この小さな店に買い物に来るのも絶対に初めてじゃない。
もちろん、この街でのあたしの評判は「白朽家のお嬢様」だけじゃない。
あたしは口がうまいんだよ!この街に来るたびにみんなを喜ばせる。
だからみんなのアイドルになった。この街の人たちももう「白朽お嬢様」とは呼ばず~~
「あ!おはよう!白栖々ちゃん、今日も早いね!」
おばちゃんはあたしを見るとすぐ、自分の娘に向けるような笑顔になった。
「うん!おばちゃんのせいだよ、ここの飴が美味しすぎて!我慢できないんだもん!」
天使のような完璧な笑顔を浮かべる。
おばちゃんが差し出した、甘やかされて育った白くすべすべの両手に向かって。開いて、閉じて、何度か繰り返す。
「だから、早くちょうだい!あたし、ツケたことないよね!」
哀れっぽい姿が、大人の心を一番動かす。それは誰よりも分かってる。
まさにそれを利用して、おばちゃんの口元の笑みはさっきより大きくなった。頭をショーケースの中に戻す。
少し待つ。面倒じゃない。むしろ気楽だ。
「はい、白栖々ちゃんの飴。どうぞ~」
「はい、ありがとう……あれ、ちょっと待って、おばちゃん、一本多いんじゃない?」
おばちゃんの手から飴を受け取り、目ざとく一本多いのに気づく。持ち上げて聞く。
実はおばちゃんが何を言うかもう予想できてた。
「あら?多い?」
おばちゃんは考え込むふりをして頬杖をつく。
「そうみたい!はい、返しますね!」
背伸びして、余分な飴を持った手をショーケースの方へ伸ばす。
「あらあら、いいのいいの!どうせ店ももうすぐ閉まるし、小白栖ちゃんへのオマケってことで、ね?」
おばちゃんは少し力を入れてあたしの幼い手を押し戻した。一番優しい口調で。
あたしはやっと、しばらく放っておかれた神さまと目を合わせた。そして仕方なくうなずいた。
「あ、ちょっと申し訳ない気がするな!じゃあ……」
「おばちゃんの好意に感謝します!小白栖、明日もきっと来るね!」
もう一度太陽のような笑顔を浮かべる。そして言い直す。
「ここの飴が一番好き!」
「これからもきっと来るよ!」
「本当にありがとう!」
- - -
「よし、あたしが二本、神さまが四本。はい!」
近くの公園に行き、ベンチを見つけて座る。あたしは一番左、神さまは一番右に浮かぶ。
神さまと分けた飴。実は自分は別に飴が食べたいわけじゃない。
飴の包み紙を軽く丸めてベンチの脇に置き、甘い苺の味が舌の上でゆっくり溶けていく。
神さまは飴を口に含んで、ふわふわと宙に浮かびながら揺れてて、とても楽しそうだ。
「そういえば、栖々。毎日ああやって街の大人たちを喜ばせて、本当に大丈夫なの?心の中ではただのお利口な子供を演じてるだけなのに。」
あたしは黙って飴をかじるだけ。何も答えない。
(何が問題なもんか。こんな世の中、無害な子供のフリをしなきゃ、余計な詮索を招くだけだ。)
あたしが黙ってると、神さまは逆に得意げになって、胸を張り、髭をぴんと立てる。
「ふんふん、人間の飴を味わえるのはこの神様だけだぞ!普通の神にはできないことだ!」
その得意げな様子に、心の中でため息をつく。
口の中の飴がゆっくり溶けきった頃、顔を上げて彼を見る。
「そういえば。明日、街区で全部の子供に超能力検査があるよね?あの水晶玉を触る儀式。」
首をかしげて聞く。
でもさっきまで元気に跳ねてた神さまが急に静かになった。
宙に浮かんだまま、公園の遠くの木の梢に視線を漂わせて、どうしても目を合わせようとしない。
「あたしの超能力って……一体何なの?」
いくら問い詰めても、神さまは口を固く閉じて、神秘的な笑みを浮かべたまま、一言も言わない。