西乃狐

中一の春、同じクラスの彼を好きになった。以来、同じ高校に進学した後も、ずっと視界の片隅で彼を探し続けた六年間だった。 もしも今日、彼に会ってしまったら……

彼が見つけてきた「目に良い」という謎の拉麺店。彼にドタキャンされて一人で行くことになった里奈は、出された拉麺を前にして……

弁護士法の特例としての特別措置法に基づき、特定金銭債権の管理回収を行うのが通称「サービサー」と呼ばれる債権回収会社である。法律の規定によりその社名には「債権回収」の四文字を使うこ…

「三十分くらいで着くんじゃないかな。バス停降りたら宿は目の前だよ」 「三十分かぁ。まだちょっとかかるなぁ。あ、バス来たかも！」 「それ逃したら次のバスは一時間以上先だから、絶対乗…

爽やかに始まり、読後はモヤモヤ。 　　*************************** 「ランドセルは何色がいいのかな？」 「入学までまだ一年あるわ。気が早い」 「でも、そ…

彼とは夜の街で知り合った。いや。知り合ったなんてもんじゃない。わたしが前の男の子どもを妊娠して、捨てられて、子ども堕ろして、やけ酒飲んで、道端にぶっ倒れていたところを拾われたのだ…

あなたの息遣いが、寝息に変わった。 とっても分かりやすい。 でも、今夜はいいの。ゆっくり寝てて。

俺はこれまで多くの人間を死に追いやって、知らず知らずのうちに死神のノルマを助けていたらしい。その功績を買われ、死神から思いがけない恩恵を受けることになった。 「おまえはもうすぐ死…

迎え火は、ご先祖様の霊が浄土から迷わずに自宅へと戻って来るための目印。 送り火は、お盆を自宅で過ごしたご先祖様の霊が浄土へ帰るのをしっかりを見送るためのもの。 いずれも玄関先など…

俺には一つ年上の幼馴染がいる。彼女の名前は桐田真衣。幼い頃は一つの年の差なんて、あって無きが如しだったのに、中学高校と進むに連れて、開くはずのない年齢差が開いたかの如く二人の距離…

不倫関係にあった男女の死体が発見された。行方不明の男の妻が重要参考人として手配されるものの、現場となった住宅の庭からはその妻の腐敗した眼球が発見されていた。

花開いたばかりで散ってしまった恋。 想い合う相手との別れを決断せざるを得なかった恋。 心の奥底に仕舞い込んで忘れかけていた昔の想い。 ずっと一緒にいながら、叶えてあげられなかった…