森早云が酔っ払ってぶつぶつと話すのを聞いた後、久葉山鯉合は、もうこれ以上は意図的に森月恵のことを思い出さないと決めた。この世界は酷くてたまらないけれど、それでも必死に生き抜くと誓うのだ、どうしても死なねばならぬその日までは。
もし鯉合があと少し、14歳から森早云の24歳まで長く生きられたなら、彼女もまた早云のようにやけくそになりながらも、なんとか踏ん張れるようになるのかもしれない。けれど今の鯉合はまだ若く、若者らしい無謀な勇気を宿している。だから彼女は誓うことができるのだ。
今の森早云の年齢なら、もし作者が彼女に誓わせようとしたら、早云さんはきっと「そんな手間かけるくらいなら、強い酒をあおって酔いつぶれて眠るほうがマシ。この腐った世界のことなんて考えるだけ無駄……って、また起きちゃったよ。最悪だ。どうしてまだ生きているんだ、どうしてまた新しい一日を迎えちゃうんだ」と愚痴るだろう。