私は純文学が好きで良く読んでいる。それも教科書で紹介された作家ばかり読んでいる。純文学が好きで小説を書き出したのだ。
しかし、私は純文学を書いていない。
私に純文学を書くセンスはおそらくないし、ライトノベルも好きなので、そちらをカクヨムに投稿しているのだが、先日、講談社文芸文庫から出版されている川端康成のエッセイ『一草一花』を拾い読みしていた時に、「私の文学」の文学的自叙伝より
—日本館の2階に谷崎潤一郎氏などの姿を見て羨望に堪えなかったものだが—
と、書かれてあるのを見つけた。
私は川端康成が谷崎潤一郎に憧れていたという事実に、なぜがホッとした。
「ノーベル文学賞を取った、世界的に有名な作家にも憧れの作家がいたんだ」と思ってしまうと、親近感が湧いたのだ。
ノーベル賞を取るぐらいだから文学に対してストイックで、自分の作品が一番優れているという自負を背負っているのだろうと思っていたが、どうやらそうではないらしい。
当たり前といえばそうなのだが、やはり川端康成にも人間臭い一面があるんだと思った。
それまで私は特に何も意識せず本を読んでいたが、作家の生い立ちや背景を考えながら読んでみると、また違った見方ができて、読書をする楽しみが一つ増えた。
あっ、オチはありません。