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エッセイのようなもの『結局ビートルズですよね』


 ビートルズと出会ったのは小学5年生の頃、通っていた塾の英語の授業でBGMとして流れていた。
ちなみに流していたアルバムは『1』。ベスト盤である。

 私は当時、流れてきた曲が気になったので、先生に訊ねると、ビートルズだよと教えてくれた。
 帰って、家のパソコンで調べると、ビートルズは最も成功したバンドとしてウィキペディアで紹介されていた。
 その日の夜、ミュージックステーションで出ていた歌手を見て、『みんなビートルズのマネをすれば、もっと売れるのにな。スーツを着て、ギターを持って、ビートルズみたいな曲をすればいいのに』と思った記憶がある。

 しかし、その考えは大人になってから間違いだと気づく。

 既にみんなビートルズの真似をしていたのだから。

 さて、ビートルズの功績はあまりに多く、あまりに語られすぎてるために、簡潔に紹介しようと思う。
 まず、作詞作曲を自分たちですることを当たり前にしたこと。
 現代の日本でバンドグループ、あるいはシンガーソングライターはほとんどが自分たちで曲を作っているのだが、ビートルズが登場する以前はレコード会社が抱えていた作曲が作った曲をシンガーが歌っていたのだ。
 このことは、後の音楽界に多大な影響を与え、バンドメンバーの音楽観や世界観が、レーベル主導の商業主義的なものから、より個人的で自由なテーマで楽曲制作できるように彼らがレールを敷いたのだ。

 次に米・ビルボードランキングの1位〜5位を独占したこと。1964年の出来事だ。この記録はいまだに破られていないので、彼らの音楽がいかに支持されていたかがよくわかる。

 他にもビートルズついて知りたければ、ネットで調べれば沢山出てくるし、そちらの方が詳しいので、これ以上は語らない。

 さて、私が本格的にビートルズを聴き始めたのは高校生の頃だった。一応知識としてビートルズを知っていたが、それよりもQueenやセックス・ピストルズ等の英ロックが刺激的で、そちらばかり聴いていたので、ビートルズを聴くのは後回しにしていた。
 ビートルズのアルバムは沢山あるので、基本的にネットのレビューを参考にして聴いていたが、その当時はポップスの基礎を作り上げたバンドという認識でしかなく、いわゆる音楽好きの教養として聴き流していた程度であった。
 本格的にビートルズにハマるのは大学生時代で特に『ホワイトアルバム』を聴き込んだ。
 『ホワイトアルバム』はビートルズがポップスで天下を取り、やるべきことがなくなって、芸術路線や個人的な趣味に走り始めるのだが、その中では傑作とされているアルバムである。2018年のリマスター版を聴けばわかる通り、サウンド面も申し分ない。ロックな側面、サイケデリックな側面……取り出せばきりがないのが、このアルバムの良いところだ。
 
 だが、個人的なビートルズのベストアルバムをあげるとすれば、『Help!』を推したい。
 このアルバムは1965年に発売されたもので、ビルボード1〜5位独占の次の年に発表された作品だ。
 なぜ一番に推すのかというと、バンドとして、一番勢いのあった時期で、かつ、全体的にまとまった勢いを感じさせるアルバムだったからである。
 全ての曲に明確に役割が振られていて、それらが忠実に仕事をしている印象がするのだ。
 あらためて、ビートルズというバンドがいかに優れていたかがよくわかる。

 最後に私が一番好きなビートルズの曲をあげるとすれば、『real love』である。

 私はこの曲とはバイト先で出会った。(ビートルズの有線が流れていたのが、そこのバイトを始めるきっかけだった)
 ビートルズの曲はほとんど聴いたと思っていたが、不意に流れたこの曲に、心を鷲掴みにされて、すぐにプレイヤーの元に行って、タイトルを確認して、スマホにダウンロードしたほどだった。

 正直な話をすると、この曲以上に優れたメロディライン、あるいはサウンドを持っている曲は沢山ある。しかし、それでも私がこの曲を押す理由は、ビートルズが最後に世に送り出したシングルだからである。

 元々は1970年台にジョン・レノンが作成したデモをベースに作られていて、それは1996年に発売された。
 ビートルズは解散して以降、それぞれのメンバーがソロでも偉大な活動をした。
 しかし、最終的にはメンバーたちが元の鞘に戻って、ビートルズの楽曲として(ジョン・レノンの遺作デモではあるが)世に届けた。
 『real love』はビートルズらしさを感じさせ、そしてノスタルジックにさせる。
 そんなロマンを感じさせる力を持った曲なのである。

 是非聴いてみてはいかがだろうか。
 

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