寒河江 柊

久しぶりに集まった四人の大学生。酔いが回り、口が軽くなり、やがて話題は各々の恋人へと変化していく……

「それは死ではありません」 　年号は大正。大戦が終わってしばらく、小説家の『私』は本屋で己の本を立ち読みしていた青年に出会った。美しいその青年に、『私』はなぜだか彼は死んでしま…

あたしは日鞠の親友で。これ以上何も望むことはないはずのに。──それなら、この昏い敗北感は、花嫁姿の日鞠を見たときの胸の高鳴りは、いったい何なの。そうやって答えを出せずにいるうちに…

　彼女は夏だったのだ。彼女が笑うと春が終わったし、彼女が泣くと冬が来た。そのようにして世界はあるのだと、私だけが理解をしていた。 　夏にだけ現れる、亡霊のような女の子だった。

親友の実果に、自分の作った曲を歌ってほしいと頼まれた朱里。大好きな曲を歌いたい。たくさんの人に届けたい。世界に認められたい。有名になりたい。噛み合わないそれぞれの野望によって、次…

地球に限りなく近いとされている星・シャングリラに、移住計画の一端としてやってきた宇野。しかし墜落事故に遭ってしまい、偶然生き残っていた少年・七星と二人、遠い星に残されてしまう。 …

港区で起きた殺人事件。捜査一課の乙津は相棒が事故で入院しているため単独で行動しようとするが、上司は「機捜からヘルプを呼んだ」などとのたまう。乙津は新人の三木とタッグをこととなった…