第3話「果たし状と決闘」で、ヨッシャたちが決闘の場所に選んだのが、代々木公園の陸上競技場i.e.通称「織田フィールド」です。
[織田フィールド]は、1964年の東京オリンピックの際、選手村のトレーニング場として整備された場所です。また、同年の東京パラリンピックでは開会式および競技会場として使用されました。「織田フィールド」という呼び名は、1928年アムステルダム五輪の三段跳びで日本人初の金メダルを獲得し、1964年東京五輪では陸上競技チームの総監督を務めた織田幹雄氏にちなんでいます。
物語の1970年代初め、ヨッシャにとってここは、果たし状を手に自転車で向かう「決闘の場所」。ところが、この場所はそれだけでは終わりません。
2年後、ヨッシャは渋谷区の小学生陸上記録会の選手に選ばれ、今度は練習のために織田フィールドへ戻ってきます。
同じ場所なのに、最初は喧嘩をしに来た少年が、やがて学校を代表して走るために戻ってくる。子どもの成長とともに、街の同じ風景が少しずつ違った意味を持っていく――そんなところも『渋谷レミニセンス』で描いていきたいと思っています。
現在も織田フィールドは代々木公園に残っています。なお、2026年7月1日から11月30日までは、第三種公認陸上競技場の公認更新工事のため利用停止となっています。
第3話を読んでから現在の織田フィールドを歩いてみると、ヨッシャ、本間、真樹たちが自転車でやって来た風景を少し想像していただけるかもしれません。
【参考資料】
公益財団法人東京都公園協会「代々木公園|公園へ行こう!」
公益財団法人東京都公園協会『代々木公園 50年の歩み』
参考写真――1970年代の渋谷
今回見つかった、渋谷駅の展示を撮影した写真も参考資料として前回ご説明したハチ公像の向きや駅前の風景など、『渋谷レミニセンス』の時代感をご覧ください。
渋谷駅の展示で撮影したハチ公像の写真(撮影:作者)