@RITSUHIBI

打ち捨てられた古道具が変じたもの、それが付喪神。 人世の翳に蠢く彼らを取り締まるのが、九十九物怪取締局（つくもぶっかいとりしまりきょく）。 生活の中で生み出されてしまった物怪た…

いにしえに屍より造られし人間――時の流れが消し去ったはずの血脈は、この世の闇に息衝いていた。数千年の時を経て、様々な異能を持つ六十の「髑髏鬼」が、抗えぬ血の宿命から互いに殺し合う…

この世から忘れ去られようとしている神様を迎えに行くーーそれが八百万人事課の仕事。たくさんの神様との出会いが、少しだけ人生を変えていく。

　取り壊し間近の旧校舎を訪れた僕は、四年生の夏休み前、ある女子と一緒にいた放課後を思い出す。彼女は夕日の恐ろしさを語った。その時僕が見た彼女の顔には、何もなかった。

　この世で最も多く人を殺してきたものは、「くしゃみ」であった。誰かが「ぶえっくしょい」とやった瞬間、誰かが「くしゃみ」と唱えなければ死ぬのだ。それが分かってからの世界は地獄だった。

閻魔大王は困っていた。 地獄裁判に欠かせない浄玻璃の鏡が、何も映さなくなったから。 そこで呼ばれたのが、小野篁。事の真相を確かめるべく、篁は現世に戻って、問題の女が住んでいた村へ…

庚申の日は寝てはならぬ。腹の中の虫が、寝ている間に天に昇って、寿命を縮めるから――それが庚申待。大泥棒の熊坂は、ひとりで寝ずの番を決め込むが、結局グウグウ寝てしまう。その腹の中に…

紅い雪が降る――この怪現象に村はパニックに。人々は知恵を絞り、何とか真相を突き止めようとする。そして今宵、選ばれた三人が、それぞれに紅い雪の謎を解き明かそうとするのだが……

江戸は木挽町、松平家には雨夜に笛の音がするという怪異がある。怪異を追い払うために雇われた若侍、重四郎は、雨夜の笛に合わせて自分も笛を奏で、音の正体である鬼と対峙する。

源頼政の母は、息子の立身出世と政敵である清盛の死を、故郷の赤蔵ヶ池に祈願していた。しかし満願の三十三日目、母は恐ろしい姿をした化物へと変わってしまう。即座に死を想う母だったが、自…

　梅津忠兵衛という侍は、氏神から剛力を授けられた。その力は代々受け継がれたが、僕の時代には重荷になっていて、失くしてほしいと氏神に訴える。日常生活に支障をきたしている僕に対し氏神…

平安時代末期、武者の世になりつつある日ノ本の闇に生きる木ノ葉天狗の白狼。彼は西海からの帰り、誤って別の山に入り込んでしまう。そこで彼を迎えたは、山に棲む鬼ども。場違いな天狗を交え…

飛騨の峻嶮にまつわる恐ろしい話。その裏にある、奇よりも怪よりもおぞましい、人の性とは。

私は幼い頃、母と共に「みちびき地蔵」に集うたくさんの亡者を見かけた。しかし父は信じず、村に知らせようとする母を止める。翌日、村を津波が襲った。父の尽力により、村は復興する。月日は…