9月に宣言した「毎日更新」は、宣言通り、最終話までの予約投稿いたしました。毎日、時間を割いて読んでくださった皆さま、ありがとうございます。積み重ねた行数ぶんだけ、物語の輪郭が少しだけ濃くなった気がします。
予約投稿した『彼辞』は絶賛、連載中です。
少年が“死んだ作家の声”と並走し、日常と異常の継ぎ目を確かめていく物語です。声は道標というより、代償を先送りにする薄明かりかもしれない——そう思いながら、一話ごとに入口を開けています。初見の方も入れる手触りのまま、通読で芯へ近づく設計にしています。
そして気が早い気もしますが、10月も、毎日更新を続けます。
新作はサン=テグジュペリ『星の王子さま』への私的オマージュ『星のお姫様(仮)』です。舞台は現代。怪談要素はいったん外し、「見る/見えない」と、関係の引き受け方だけを丁寧に置いていきます。
ログライン:現代の街を歩くひとりの少女が、短い出会いと別れを重ねながら、「大切なもの」の受け取り方を学び直していく短章連作。
別線で、もうひとつ。
過去におふざけで投稿した読み切り『バンパイ屋—夜だけ開くラーメン店—』を、中編(全20話前後)として仕立て直しました。
設定はシンプルです。——ニンニクが弱点の吸血鬼という種族が、血を吸うことをやめ、ニンニクを多用するラーメン屋を渋谷で営む。夜にだけ暖簾を出し、夜明けに片づける。
怪異ではなく、人と仕事の物語として。湯気の向こうで交わされる小さな選択と、弱さの引き受け方を、静かに描いていきます。