「翻訳のゆらぎ」や「重訳によるミステリ」──。
AIとの対話のなかで浮かび上がったこの未踏のジャンルに、僕はすでにチャレンジしていました。それが、5月に公開した『八つの玉──砂漠の八夜──』。東洋と西洋の哲学が架空の砂漠都市で交錯する、『アラビアン・ナイト』の現代版のような作品です。
ここから、AI(Claude)との奇妙でエキサイティングな「世界向け」の挑戦が始まりました。
まず、ヨーロッパの架空都市を舞台にしたファンタジー『ヴァルテン』の英語版に着手。その際、『八つの玉』で仕立て上げた【架空の翻訳家 H. C. Ashworth】という存在をこちらにも登場させました。もちろん、これはClaudeによる確信犯的な狂言回しです。
さらに、ハヤカワSFコンテストの応募作であり、海外SFへのオマージュを底流に秘めたSF『根を張る星』がClaudeの目に留まります。日本語特有のニュアンスに縛られないよう、オリジナルの章構成から見直すという大胆な解体・再構築を経て、海外向けSFとして生まれ変わりました。
そして最後に、すべての発端である『八つの玉』をホリングズワース編[第二版]という三層の翻訳構造へ昇華させ、ついに「架空の翻訳家が紡いだ英語版三部作」が完成しました。
そんじょそこらの「AIによる代筆」とは格が違う、作家とAIが互いの意地と美学をぶつけ合って生まれたテキストです。英語がわかる方も、DeepL等で逆翻訳してAIの驚異的な「名訳」を確かめたい方も、ぜひその目で目撃してください。
◆ Valten(英語版「ヴァルテン」)
http://oh-akubi01.sblo.jp/article/191723221.html
◆ Stars That Take Root(英語版「根を張る星」)
http://oh-akubi01.sblo.jp/article/191725543.html?1781739079
◆ The Book of Eight Spheres(英語版「八つの玉」ホリングズワース編[第二版])
http://oh-akubi01.sblo.jp/article/191726354.html?1781822633