らくがきを描きました。
ナリヤ、ラプラ、ルナ、マカルーです。
ついでにショートも書いてみます。
以下、ネタバレが怖い人は先に本編をお読みください。
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微睡みの中で問いかけてみた。
このくらいなら死にはしないと思うが、鼻血くらいは出るかもしれない。
だが、試す価値はあるだろう。
「ギア、もしもナリヤがクリスマスを楽しめたらどんな感じだったかな。」
『……命を縮めてまで頼むことがそれか。』
「超絶かわいいナリヤたんのサンタコスとか見たいじゃん。」
『今はカナリヤとは話せないのだったな。』
「うん。」
ギアのため息が聞こえた。
良いじゃないか。
幸せになったら寿命が延びるかもしれないし、ナリヤのクリスマスを楽しむ姿……見たいと思ってしまったのだから。
『絵に残せるか?』
「え?絵??描けますけど。まさか、欲しいの?」
『ああ。』
「えー?描いたら消えちゃうのー?」
『少ない命を削るよりも絵を捧げた方が良いと思うが。』
「あ、それで回避できるんですね。なら描きます!
その代わり描きあげるのを待ってから持ってってくださいね。」
『わかった。
では見せよう。
もしもナリヤ・ウォーティアがクリスマスを楽しめたら。』
ギアの声が響き終わると共に楽しそうな声が聞こえてきた。
ナリヤはラプラちゃん色のサンタ服を、ラプラちゃんはナリヤ色のサンタ服を着てトナカイの髪飾りもつけていた。
「わー!お姉ちゃん似合う!最高!かわいいー!」
「ふふーん!そうでしょ!」
ナリヤは自慢げに大きな袋を掲げた。
くるくる回ってラプラちゃんを喜ばせるナリヤ。
袋はミシミシと変な音をたてはじめていた。
「ナリヤー、ラプラー。あなたたちにも聞きたいらしいの。来られるー?」
サイフォさんがふたりを呼んでいる。
どうしたのかとかわいいサンタ達が母の元に駆け寄った。
彼女らの母の傍にはマカルーさんがいた。
「うげ。かわいーおねーちゃんを見に来たんですかー?ニルスさんはここにはいませんよ。」
「……違います。せ、先輩のサンタ服は見たいですけど。」
小声でマカルーさんがモジモジすると、ラプラちゃんもナリヤもドン引きしながら距離をあけた。
サイフォさんはニコニコしている。
彼女はどこまで知っているのかわからないが、マカルーさんとは同じ仕事をしているし……ある程度は察しているのかもしれない。
マカルーさんは咳払いをして改めて声を張った。
「ル、ルナ様です!探していまして。」
「へ?そもそもこの国に来てるんですか?」
ラプラちゃんが間抜けな声をあげた。
「異世界にあるニホン改変されたクリスマス祭を再現するとトステ様に連絡したところ、聞いていたルナ様が是非参加したいといらしたんです。
ですが、飾り付けに手間取って予定より開催が遅れてしまいまして……それで、暇になったのか会場から飛び出してしまわれたんです。」
ナリヤは大袋を抱えたままうんうんと聞いていた。
「お姉ちゃん。おもくないの?
さっき振り回してた時もきしんでたし。」
「え?確かに綿しかいれてないはずなのに少し重いわね。湿気たかしら。」
不思議そうにナリヤが袋を下ろそうとすると、一気に破れてルナくんが生まれた。
「はっぴーくすりまーす!だっけ!?」
ラプラちゃんもナリヤも「きゃー!」と袋から離れる。
マカルーさんだけはなんだかわかっていたようで、呆れたようにルナくんに対応していた。
「メリークリスマス。だったかと。」
「そうだー!それー!メリーくりとます!」
「クリスマス。」
「クリスマーース!」
ルナくんはきゃっきゃとはしゃいでいた。
ナリヤはその様子が面白かったようで、ケラケラ笑いはじめた。
それにつられて、ビックリして警戒していたラプラちゃんも笑い出した。
マカルーさんが頭を下げてルナくんを回収して帰ろうとしたのだが、サイフォさんが『お肉がたくさん焼けている』と言うとルナくんはキッチンまで走っていってしまった。
「サイフォさん、困ります。」
「あら、娘が気に入ったみたいだからゆっくりさせれば良いじゃない。それにルナ様は国賓よ。
本人がここに居たいと思うなら待つのも仕事ではないかしら。」
マカルーさんは項垂れながら反論を諦めた。
「ただ待つのも暇よね。衣装が余っているからあなたも着なさい。」
サイフォさんはにっこりとサンタ服を取り出した。
「私は勤務中……。」
「ルナ様ー!マカルーのサンタ姿見たいですか?」
「えー?わかんないけど見るー!たのしそー!」
マカルーさんは目を真ん丸にしながらサイフォさんの笑顔を見た。
ラプラちゃんやナリヤも嬉しそうにしている。
「イケメンのサンタ服!」
特にナリヤは嬉しそうだ。
マカルーさんはしぶしぶサンタ服に着替えることになった。
キッチンで大きな鳥肉を美味しそうに頬張るルナくん。
ルナくんが食べてしまった分を埋めるべく必死に料理するナリヤたちのお父さん。
死んだ目でサンタ服を着てナリヤに懐かれるマカルーさん。
マカルーさんに嫉妬するラプラちゃん。
かわいいし、楽しそうだし……なんて幸せな姿なのだろう。
「ありがとう、ギア。」
『さあ、早く描いて捧げなさい。』
「うん。」
こんなに素敵なものを見せて貰ったのなら描くしかない。
描いたあとに消えてしまうのは残念だが、また描けばいいか。
その時の私は軽い気持ちで楽しく描きあげた。
しかし、欲張りな神様への頼み事はそうもうまくいかないようだ。
後日、トステさんたちに見せようともういちまい描いたのだが、それも描きあげた傍から消えてしまった。
ああそうだった。
日記がそうなのだからそのくらい予想もできたはずだ。
「ほんと、欲張りだな。」
気楽に頼んでしまった私も悪い。
でも、私の絵を欲しがってくれるのは嬉しくもある。
少しだけ嬉しさが勝ってしまい……それが少しだけ悔しかった。
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現在101日目をのんびり書いてます。
物語がまもなく終わると思うとそわそわします。
以下、
絵なのでさらに下げ。
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