この物語には、ひとつの問いがあります。
大切な人がいなくなったとき、その人を「忘れない」ためには、何をすればいいのか。
瞬葉は九歳でお母さんを亡くしてから、ずっとその問いを抱えて生きてきました。
手元に残った本。
記憶の中にある声。
そして、開くことのできない最後のページ。
大切な人とのつながりを失いたくないと思うとき、私たちは何かを手放せずにいたり、変わってしまうことを怖れたりするのかもしれません。
この物語は、そんな想いを抱えた瞬葉とともに、季節を巡っていきます。
春、帰るって何だろう。
夏、いなくなるって何だろう。
秋、忘れるって何だろう。
そして、冬、残るって何だろう。
同じ問いを見つめているようでいて、季節が移るたび、その景色は少しずつ変わっていきます。
もし、あなたにも忘れたくない人がいるのなら。
その人を忘れないために、あなたは何を大切にしたいと思いますか。
この物語が、あなた自身の記憶や、心に残っている誰かとの時間を、そっと見つめるきっかけになれば嬉しいです。