• ミステリー

偶然を取り込む楽しみ

 連作短編『ぎゃらん堂へようこそ』は行きつけの整骨院の先生に監修してもらってるんですが、二作めの『人魚姫の大腿四頭筋』で修正が入りました😑
 ストーリーの本筋とは関係ないんですが、ふくらはぎを構成するヒラメ筋を揉むシーンで、ヒラメ筋は体の深部にある深層筋なので指ではほぐしきれないとの事。調査不足を反省していたんですが、聞けばヒラメ筋の外側の縁部分はかろうじて指が届くそうで、外側の縁…縁側…ヒラメのエンガワ✨と発想が膨らみ、ちょうど寸前にヒラメの連想から白身魚のフライを食べたいって会話もあったので、『ヒラメのエンガワの寿司もいいなあ』ってオチが生まれてむしろ面白いシーンになりました😆
 創作をしていると小説でも漫画でも、こんな風に間違いや偶然から面白い展開が生まれる事がままあります。勿論、作品を創る前にはアイディアを発想・補強する為に、内容的にも絵的にも出来る限りの資料を集めてチェックします。それでも今回の様な取りこぼしは必ずあって、その際は当然修正するのですが、明らかに撤回しなければならないミス以外はただ直すのではなく、より面白くできないかどうかを模索するようにしています。
 これは僕の作劇法でもあるんです。
 僕の作劇法は基本的なアイディアに対して、まず自身で反証をします。それで面白いかどうかを客観視も出来るし、最初の思い付きは原石なのでブラッシュアップしないと商品にはならないというこだわりもあるんですよね。このやり方は弁証法に則っていて、最初のアイディアが〈命題─テーゼ〉、反証が〈反命題─アンチテーゼ〉な訳です。ただテーゼにアンチテーゼをぶつけるだけでは『どっちが正しい?』となってしまい、そこで創作が止まってしまいます。そこで弁証法の肝であるテーゼとアンチテーゼの両方を切り捨てずに高次元で上回る、いわば『いいとこ取り』の第三のアイディア──〈ジンテーゼ〉を捻り出す訳ですね。
 週刊連載の頃もこのやり方で編集さんと打ち合わせしていました👍そうじゃないと考えたアイディアや描いたネームを全否定されるプロの日常は、とてもじゃないけど乗り切れないし😅でもお陰で鍛えられて、一人で創作していても自然と自分の作品を客観視出来るようになれましたけどね。これがキツいけど、楽しいんです😚
 という訳でヒラメのエンガワ、寿司もいいけど刺身をポン酢でいくのも日本酒に合うよね〜😋

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