こういう形で近況ノートを書く機会はあまりないのですが(というのも、まあ、小説を書くことこそが本来やるべきことであって、その他自作品の感想を述べるというのは私のやるべきことから逸脱しているように思っていたからです)、自身の過去作に関する記録をある程度は残しておいた方が自分のためになると考えたため、今回は「ヨルノ」の感想的な部分をまとめておきたいなと思った次第です。
さて、「ヨルノ」は全部でちょうど30万字程度の「現代ファンタジー」のお話です(追加エピソード等を除く)。
あらすじは、魔法使いの少女(吸血鬼)と普通の人間である少女(彼女は魔法の存在を知らない)のガールミーツガールからはじまり、二人で補い合いつつ様々な苦難を乗り越え、最後には二人が結ばれる(はず?)というものです。
以上がお話の基本情報です。では、「このお話の最大の魅力は何か?」という疑問にお答えしましょう。
物語の最大の魅力は、「キャラ同士」の関係性にあると思います。
──吸血鬼の星乃ココアと「天使」な夜織ユラ(割とすれ違ってばかりの二人)
──色々と謎の多いトリックスター桜井ハルノ
──容姿やら性格やらがとにかく「あべこべ」な菊水姉妹・キタとスズ
(以上5人が第一章の登場人物)
──「桜屑(さくらくず)の森」と呼ばれる密林で能を演じる少女、月詠ヒグサ
──魔導書庫の中に引きこもる北条リュカ
──同じく魔導書庫に引きこもる(劇作家の)神代マオ
(以上3人が第二章以降に現れる追加の登場人物)
計8名の登場人物たちがそれぞれの思惑を抱えており、主人公ココアは全員の思いと向き合う必要があります。
それぞれの心情と目的、そして絡み合った相互関係から生み出される衝突と協調こそ、本作の魅力なのだと思います。
では「このお話は問題点は何か?」ということについて、少しだけ明かしておきましょう。
数か月前の文章ということもあり、改めて自分で読み返してみると「描写不足だなぁ」と感じる箇所がいくつかありました。その割に、「余計なところが冗長だ」とも感じました。
なぜこのような「魅力」と「欠点」を持つようになったのでしょうか。
その理由はこのお話の「構成上の都合」にあると思います。すなわち物語の「構成」がやや奇抜過ぎるのです。
まず「ヨルノ」の構成を端的に説明すれば、最初10万字のパートが「異能力系ファンタジー×百合ラブコメ」となっており、残りの20万字が「異能力系ファンタジー×ミステリー」となっています。
つまり「コンセプト」があやふやで、「ジャンル」や「テーマ」に一貫性がないのです。当然、意図してのことです。
「意図していた」とはいえ、本作の構成面は問題点であったことに変わりはないでしょう。しかしこの奇抜な構成が、「欠点でありつつ良さ」だったのだと今でも信じています。
第一章では「ラブコメ」らしい「穏やかな日常パート」と「異能力系ファンタジー」らしい「緊張感のあるパート」が混在し、ハラハラさせられる場面がいくつもあったのだと思います。
そして第二章では突然「ミステリー」という未知の要素が全面に押し出されることになります(あまり良い意味ではなく、むしろ「ニーズを半分裏切った」というような形で読者さんは驚かされることになるのだと予想します)。
とはいえ、第一章の「現代ファンタジーラブコメ」のbitter&sweetな空気感に「(軽い)ミステリー」要素が加わることで、「月の裏舞台」という魔法空間で織りなされる物語が、より印象的に表現できた自信もあります。
魔法空間という特殊な場所に集められた少年少女だからこそ、このお話が成立したように思います。
そのため、読者の皆さんには、「魔法使いの劇団」を描いたハイファンタジーのような物語と「星乃ココアと夜織ユラの関係性」を描いた百合ラブコメのような物語の二軸をお楽しみいただければと思います。
また私個人の感想を言えば、ココアとユラに関するお話を存分に書きなぐった贅の極みのような小説(少々、おこがましいですが)だと考えております。したがって、二人の関係性を温かいまなざしで見守っていただければ幸いです。