いつも作品を読んでくださって、ありがとうございます。レイヴです。
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本当にありがとうございます。
皆様の応援と、日々読んでいただけていることが、続きを書く力になっています。
今回は、そのお礼に、現在連載中の『救助屋』『考古学者』『恐竜帰還』の三作品から、仲間たちを集めた特別編を書きました。
救助屋の朝倉迅(あさくら・じん)。
考古学者の神代遼(かみしろ・りょう)。
恐竜育ちの九龍六歌(くりゅう・ろっか)と、その仲間たち。
本編の時系列や世界のつながりとは別の、特別なお祭りです。
各作品の設定や、これまでの展開に触れる会話があります。
まだ会ったことのない人物がいたら、今日はぜひ、その人の隣にも座ってみてください。
『最強たち、次の休みも一緒に』
「全部持ってきたぞ!」
ダンジョン配信者のミカが振り向くと、保冷箱の上からヴィクターの顔が出ていた。
箱が二つ。その上に折り畳み椅子。本人は笑っているが、足元は見えていない。
「ヴィクターさん、下ろす時は?」
笑顔が、そのまま止まった。
「……上から頼む!」
「はい。そのままで!」
朝倉ダンジョン救助事務所の青柳セナが、すぐに椅子を受け取った。近くにいた東雲岳へ顔を向ける。
「東雲さん、下の箱を押さえてもらえますか」
「ええ。上からどうぞ」
神代遼と共に塔へ潜る、S級の盾役が箱へ手を添え、セナは下ろす場所を指した。二つの箱は、間もなく地面へ並んだ。
「いい手際だな! 帰りも頼む!」
「積む前に呼んでくださいね」
セナが答えると、東雲まで笑った。
喫茶店ミナトの正面にある、テラスのような広い庭。今日は貸し切りだ。長いテーブルの周りへ、十九人分の椅子を並べている。
店主のリラが、飲み物の盆を持ってきた。
「焼くのも食べるのも、交代でね。ずっと立ったままの人がいないように」
「私も食べます。写真にも入ります」
ミカが肩の撮影ロボへ顔を向けると、ポチのレンズが動いた。
「撮影する人は、どなたですか」
「……ポチ」
「承知しました」
「今、ちょっと笑ったでしょ」
「表情を変える機能はありません」
ミカはレンズを指で示してから、焼き台へ向かった。
初めて使う包丁を、ロッカが握り直していた。鞄の横には、牙で作った斧。まな板には、骨つきの大きな肉が載っている。
「軽いなあ、これ」
「少し引くようにすると、切りやすい」
剣士の久我蒼士に教わり、ロッカが刃を動かす。切り口を一度見てから、今度は骨に沿わせた。肉のどこへ刃を入れるかでは、手が迷わない。
「道具が変わると、違うもんだな」
「もう慣れてきたな」
ミカはポチを近づけた。
「竜の角を素手で止めた時より、慎重じゃない?」
「あれは、止めりゃよかったからな。こっちは薄く切りたいんだよ」
「ボクのは、厚くていいよ」
保冷箱から顔を出したのは、ティーラだった。
今は人間の姿をした、元ティラノサウルス。ロッカと三十年を共に生きた相棒だ。
「焼けるまで待てよ」
「待つ」
「昨日もそう言って、俺のを食っただろ」
「あれ、冷めそうだった」
「俺が皿を取りに行ってる間にな」
久我が笑い、切れた肉を皿へ移した。
「蒼士、私のも二枚」
S級探索者の白瀬灯が皿を出すと、治療を仕事にする橘美緒も続いた。
「私もお願いします」
「焼く前から予約するなよ」
言いながら、久我は厚めのところを別の皿へ分けた。
その向こうで、椅子を運んでいた陸が足を止めた。大きな植木鉢があって、テーブルの端へ入れない。
「リラさん、この鉢――」
「動かしましょうか」
考古学者の神代遼が、木の植わった大鉢を底から持ち上げた。
「台車、裏に……あら、もういいのね」
リラが指していた手を下ろす。土も葉も、ほとんど揺れていない。
「どこへ置けば?」
「あちらへお願い。そこも二人で動かしたのよ」
「戻す時も呼んでください」
遼は鉢を置き、手を払った。
世界最強と呼ばれる人が、何事もなかったように椅子を運ぶ方へ戻っていく。
ミカはポチを見た。
「今の、撮れた?」
「はい」
「よし」
「ミカ、肉も撮るんだろ?」
ロッカに呼ばれ、ミカは慌てて焼き台へ戻った。
炭の前では、道具屋の三枝鉄平が、迅へトングを渡していた。
「こっちを使え。持つ所が熱くなりにくい」
「新しいの?」
「見て分かるか」
「鉄平の、道具を渡す時の顔で」
「道具を見ろ、道具を」
迅が笑って開いたり閉じたりすると、鉄平は手元をのぞいた。
「どうだ」
「握りやすい」
「だろ」
そこだけ、返事が早かった。
肉の皿を持ったヴィクターが網へ近づくと、窓から声がした。
「全部載せるな。焦げそうな物を避ける場所がなくなる」
窓際にいるのは、ロッカたちの頭脳役、カインだ。庭へ出ることなく、焼き台まで見渡している。
「今日は肉にも指示するんですか?」
ミカが聞くと、コーヒーを持つ手が止まった。
「肉は指示を聞かない。動かすのはお前らだ」
「それ、普段と一緒ですね」
「普段は聞け」
「おう、天才! お前の分も焼いてやる!」
「俺の分を最初に焦がすなよ」
ヴィクターが大きく笑い、網へ肉を載せた。
脂が落ちる音に、ミカはポチを下げる。
「ミカさん、ここからなら顔も入ります」
手を振ったのは、迅の事務所で働く小坂陸だった。撮影の仕事もしていたという彼の示す場所へ回ると、焼ける肉の向こうに皆が収まった。
「いいね、陸くん」
「席も取っておきます。撮ってる人だけ食べ損ねるの、よくあるので」
「今日、それは回避したい」
「僕もです」
陸が隣り合った二脚を指した。
最初の皿がテーブルへ届く。美緒が肉を取る横へ、久我が野菜を置いた。
「野菜もって言うのかと思った」
「久我さんが置いてくれたので、私はお肉を取れます」
「そう来るか」
美緒は笑って二枚目を取った。
ミカもその手元を撮っていると、灯がポチの前へ肉の皿を差し出す。
「次はミカさん」
「え?」
「食べた顔も撮るんでしょ。どうぞ」
一口食べると、脂が甘かった。
「……あ、うま」
「今の顔、よかった」
「待って。それ、どこにも出さないでくださいね」
灯が笑った。
「私の口に何かついてたら、先に教えてね」
「そこは任せてください」
ミカは肉をもう一口食べ、取っておいてもらった席へ向かった。
その近くで、遼が小皿を三つ並べている。
「甘口、辛口、塩だれです」
古代文字を調べる仲間、篠宮栞が、容器に貼った札を指した。
「全部、試したくなりますね」
「……私も、それで三つになりました」
栞の前にも、同じ三つが並んでいた。
協会職員の水城彩花が、二人の皿を見比べる。
「私は塩だれから。神代さん、そっちの感想を教えてください」
『その次は、これを試せ』
遼の隣のエルドが、小さな瓶を差し出した。塔で出会った、千八百年前の記憶を持つ旅の仲間だ。
「レモンですね」
『同じ肉でも味が変わった。お前にも食わせようと思ってな』
遼が小皿を寄せると、水城も瓶をのぞき込んだ。
「じゃあ、私も」
ミカも皿を出したが、それを見るなり、遼が目を細めた。
「……それ、俺のより厚くないですか?」
いつの間にか、大きな一枚が載っていた。
顔を上げると、ロッカが空のトングを持っている。
「ミカ、さっきから一枚しか食ってないだろ」
「数えてたの?」
「目の前にいるんだから、分かるよ」
ミカは椅子を引いた。
「じゃあ、ちゃんと座って食べます」
「そうしろ」
ロッカも隣へ座り、ティーラがその皿へ肉を置いた。
「これは、ボクが焼いたの」
「おまえの分は?」
「もうある。今度はボクが焼いたの食べて」
ロッカは一口食べ、頷いた。
「うまい」
「うん」
ティーラの目が細くなる。ロッカも同じ顔で笑って、もう一口食べた。
その椅子に置かれた鞄を、栞が見ていた。
「恐竜の図鑑も持っていると、聞いたんですが」
「あるぞ。見るか?」
「ぜひ」
ロッカが手を拭き、一冊を取り出した。
背は何度も縫い直され、表紙の角には別の布が当てられている。
遼はすぐに手を伸ばさず、ロッカの顔を見た。
「開いても?」
「ああ。そこのページ、少しゆっくりな」
古い紙を支えながら、遼がめくる。
恐竜の図の隣には、短い文字があった。
川。冬。あぶない。
「図鑑になかったこと、自分で足したんだ」
「写真に残してもいいですか。見て書いた時の話も聞きたいです」
栞の声が、少し早くなった。
「いいぞ。でも、字は汚いぞ」
「読めます」
遼も、縫い直された背へ目を落としていた。
「これを持って、三十年……。向こうへ行った時は?」
「五歳」
新しい皿を運んできた迅が、そばで足を止めた。
ロッカはティーラを見た。
「こいつも、最初は俺より小さくてな」
「ここ、ボクがかじった」
ティーラがページの端を指す。
「それは書かなくていい」
「傷も記録になるんです」
栞に言われ、ティーラが笑った。
「味方が増えた」
「おまえ、急に学者さんの側へ行くなよ」
遼も笑ったが、紙を支える手は動かさなかった。
「帰ってくるまで、よく残りましたね」
「そっちは、こういう物、持って帰らないのか?」
「俺も地図は描いていました。地下の遺跡から、出られなくなって」
「どのくらい?」
「十年です」
ロッカが顔を上げた。
「……そっちも、長えな」
「戻ったら、地上にもダンジョンができていました。俺はずっと地下にいたので、知らなくて」
迅が皿を置くと、遼が自分の横の椅子を寄せた。
「どうぞ。朝倉さんも」
「うん。じゃあ、ここで食べようかな」
栞が撮影を終えるのを待って、遼は図鑑を閉じた。ティーラも端へ手を添え、ロッカが鞄へ戻す。
それから遼は、すっかり冷めかけた肉を口へ入れた。
「こうして座って、次の一枚を待てるのも、嬉しいですね」
「分かるぞ。冬の分、足りるかって考えなくていいしな」
「そう。それです」
水城が焼きたての肉皿を二人の間へ置いた。
「今日は、まだありますよ」
二人が揃って箸を伸ばしたので、ミカは笑った。
その隣で、迅が肉を取った。陸は彼へ、たれの容器を渡している。
「朝倉さんの事務所って、陸くんも一緒に潜るんですか?」
「僕は、事務所で迎える方を覚えてます。最初は、助けてもらった側なので」
ミカは陸を見た。
「そうなの?」
「はい。配信に『助けて』って、俺が書いたんです」
「私と蒼士と美緒も、その時に」
灯が続けた。
「四人とも、迅に連れて帰ってもらったから」
ロッカが箸を止める。
「書いたら、そこへ行くのか?」
「ダンジョンにいる人から届けばね。依頼が終わっている時なら、その人の近くへ飛べる」
「入口から走るんじゃなくて?」
「一瞬で」
「じゃあ、そいつを連れて、また飛べば――」
「帰りは飛べないんです」
セナが答えた。
「飛ぶ時も、迅さんと持ってる道具だけ。帰る時は、助けた人と出口まで行かないと」
「だから、私たちが外から道を調べたり、人を送ったりするの」
相沢円が空いた椅子へ座った。事務所で地上から救助を支える人だ。
「道があるか分からない所へ、先に行くのか」
ロッカが聞くと、迅は頷いた。
「だから、荷物が増える」
「増やす前に、うちへ持ってこい。使えるようにしてやる」
鉄平が焼き台から声をかけた。
「うん。相談に行く」
「運ぶのはセナがやります」
ロッカは皆を見てから、迅へ顔を戻した。
「それで、皆で帰ってくるんだな」
「帰る道は、皆で作る。そこまでが仕事だから」
ロッカは鞄へ目を落とした。
「五歳の時に、そんな配信を見られりゃよかったな」
「その時、ここまで声が届いていたらね」
「泣いてばっかだったぞ、俺」
「それでもいいよ。『助けて』って、言ってくれれば」
ティーラが、ロッカの肩へ少し身体を寄せた。
迅は二人を見た。
「一緒に帰ってこられて、よかったね」
「いや、俺が先で、こいつは三日あと。今みたいな姿で来たんだ」
「……すぐ、分かった?」
「顔も声も違ったけどな」
ティーラがロッカの手の甲を、指でたたいた。
とん、とん、とん。
「昔からの合図なんだ。それで、分かった」
ロッカがその手を一度だけ握ると、迅は小さく笑った。
「そっか」
遼も二人を見ていた。それから、迅へ顔を向ける。
「古い道を探す時なら、俺も手伝えると思います」
「本当? それは助かる」
「俺も、重いもんなら持つぞ。あと、帰ってきたら肉を焼く」
ロッカが続けた。
「腹、減るだろ?」
「すごく減る」
返事が早かったので、三人とも笑った。
ミカがその顔へポチを向けたところで、窓の方から声がした。
「味は、どうなんだよ!」
ヴィクターが、カインの前へ大皿を置いていた。
「うまい。だから次を早くしろと言ってる」
「食いながらも指示するのか!」
「できると言っただろ」
ヴィクターが大きく笑った。
リラはコーヒーを入れ替え、大皿から一枚取った。
「私も、いただくわね」
「おう。お前の店の肉だぞ!」
「焼いてもらったのは、また別のおいしさなのよ」
それを聞いたロッカが、自分の皿へ目を落とした。ティーラが焼いた肉をもう一口食べ、彼女へ皿を寄せる。
「次は、俺が焼くよ」
「うん。でも、もう少しここにいる」
ティーラが言うと、ロッカも座り直した。
セナは空いた皿を重ね、庭を見渡した。
「庭でバーベキューなんて、最高ですね。迅さん、事務所でもどうです?」
「いいな。皆で買い出しして――」
「駄目よ」
円が即答した。
「まだ、何も決めてないだろ」
「事務所って言ったでしょ。煙が隣の家まで行く。近所からクレーム来るわ」
「じゃあ、煙の出にくいやつで」
「セナ。迅の方を見ても、場所は広くならないよ」
「……広くは、ならないですね」
残念そうに肉を食べるセナへ、水城が顔を向けた。
「神代さんの家なら、できますね」
遼はコップを下ろした。
「いや。一人でバーベキューも、どうなんでしょうか」
「それ、ぜひ映してください」
ミカが言うと、遼がこちらを見た。
「何をです?」
「世界最強、ひとりでバーベキュー」
「俺、寂しそうに映りません?」
「そこは、お肉をおいしそうに撮るので」
「俺も入れてくれませんかね」
灯が、コップを持ったまま笑った。
「ミカさんまで、一人にしないでください」
水城が言い、遼へ顔を戻した。
「呼んでくれるなら、私は行きますよ。買い出しも手伝います」
遼は少し考え、テーブルの顔を見渡した。
「……じゃあ、次の休み。うちで、やります?」
「行きます!」
セナが真っ先に答えた。
「荷物、今度は積むところから手伝います!」
「肉は俺が持つ!」
窓辺のヴィクターが返事をする。
「焼き台が足りなけりゃ、俺が見繕う」
「私、おにぎりを作っていきますね」
鉄平に続いて美緒が言うと、久我が笑った。
「この面子で買い出しに行ったら、店の肉がなくなるな」
「先に注文しましょう。おにぎりも、足りる分を」
「それも食うぞ!」
ヴィクターに、美緒は笑って頷いた。
栞はたれの瓶を並べて撮り、ロッカを見る。
「図鑑の続きも、その日に聞いていいですか」
「肉食いながらでよければ、いくらでも」
「俺も聞きたいですね」
遼が加わると、栞は写真と一緒に予定を書き込んだ。
『リョウ。俺の席もあるか』
「ありますよ。今日、気に入ったたれも用意しておきます」
『なら、行こう。次は俺のすすめる順番で食ってみろ』
「楽しみにしています」
リラも窓へ近づいた。
「次は、私も食べる方でお邪魔しようかしら。デザートを持って」
「もちろん。ぜひ」
遼の返事が、今度はすぐに出た。
円が迅の端末を指し、セナがその横から日付をのぞく。灯は美緒と、持っていく物の相談を始めていた。
「買い出し、何を買うところから考えればいいですかね」
遼に聞かれ、水城が端末を出した。
「そこから一緒に選びましょう」
ミカは、地下に十年いた人の顔を見た。
さっきとは違う顔で、次の休みの話をしている。
ポチへ目を向けると、レンズも同じ方を向いていた。
「ミカさん。今、撮りませんか」
陸が、自分の隣の椅子を引いた。
「全員、皿も届いてるので」
「あ、そうだった。皆、写真、一枚!」
ミカは立ち上がり、ポチの画面を確かめた。
大きな二人が後ろへ並ぶと、栞の顔が隠れる。
「東雲さん、少し右へ。ヴィクターさんは半歩後ろ」
「こうか?」
「はい。あ、そっちを向くとリラさんが隠れます」
東雲がヴィクターの立つ場所を示し、二人で少しずつ動いた。久我と美緒が顔を寄せ、鉄平はトングを置く。
セナが陸の肩越しに身を寄せ、円がコップを端へ動かした。遼はエルドへレンズを示し、ロッカとティーラが皿を少し下げる。
「カインさん、そこ入ってます」
「なら、お前が入れ」
「あ、はい!」
ミカは陸の隣へ座った。灯が少し椅子を寄せ、顔をのぞき込んでくる。
「口、大丈夫?」
「ばっちりです」
「ミカさんも大丈夫」
陸が画面を確かめ、親指を上げた。
「十九名、確認できました」
ポチの声に、ミカは頷いた。
「よし。じゃあ、皆で!」
撮影の合図がして、庭に笑い声が重なった。
ミカが写真を開くと、ちゃんと全員が写っていた。
大きく笑っている人。少し照れている人。まだ箸を持ったままの人。
陸と灯の間で、ミカも笑っている。
「……これ、皆に送るね」
「ボクにもね」
ティーラがのぞき込み、ロッカも顔を寄せた。
「もちろん」
「次、うちで撮る時も、同じ人数ですね」
遼が言うと、ミカは笑った。
「増えるかもしれませんよ」
「じゃあ、椅子も増やさないと」
迅の言葉に、ヴィクターが手を上げた。
「それなら俺だ!」
「積む順番はセナが考えます」
「下ろす場所は、先に空けておきますね」
東雲が続け、円も人数を端末へ書き込む。
「肉の量も先に決めろ。人数だけじゃ足りん」
窓から言われ、ミカはカインを見た。
「カインさんも来るんですよね?」
「席を空けとけ。焼き台が見えるところだ」
「おう。食う分も空けとけよ!」
ヴィクターが返すと、リラが笑った。
「次の話もいいけれど、今日のお肉も、まだあるわよ」
ロッカとティーラが揃って立ち上がる。
「今度は、誰の分?」
「私!」
ミカが皿を上げると、あちこちから同じ声が上がった。
栞が図鑑の話の続きを尋ね、遼もそちらへ椅子を寄せた。セナが空の大皿を持ち、東雲がその後ろの椅子を引いて道を空ける。
迅が、ミカの前へ焼けた肉を置いた。
「撮れた?」
「はい。私も、ちゃんと入りました」
「よかった。次、焼くの代わるね」
ミカは頷き、写真を皆へ送った。
「ロッカ。少し厚いやつも、お願い」
「焼けるまで待てよ」
「待つよ」
ティーラが、すぐにこちらを見た。
「それ、ボクも言った」
ロッカが笑い、ミカも笑った。
端末を伏せ、箸を取る。
次の休みの約束をした十九人は、もう少しだけ、今日の肉を焼くことにした。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました!
それぞれの本編でも、この人たちに会ってもらえたら嬉しいです。
これからも『救助屋』『考古学者』『恐竜帰還』を、どうぞよろしくお願いします。
次の一話も楽しみにしていただけるよう、引き続き書いていきます。
いつも温かい応援を、本当にありがとうございます!