かつては人生に立ち向かう術を学ぶのが物語の機能のひとつだった。
しかし今は〝このクソったれの世界は立ち向かう価値もない〟と判じられているような、無力感に包まれた空気を感じる。
だからみんな〝異世界に転生〟する。
もしくは〝ループ〟してやり直せば全て上手くいくと思っている。
何も起きない作品が喜ばれているのも事実だ。
激しい戦闘よりも、ほんわかとした日常回が好きだという。それしかない作品も多い。
物語の機能の一つには、イニシエーション、成人の儀式、大人として社会に参加させる準備をさせる、という役割もあった。
何も起きない作品が増えた時期と、
日本が〝大人不在〟〝大人がいなくなった〟と言われ始めた時期と合致するのは偶然か