はじめまして。佐野智と申します。 日常系ミステリーを書いています。 殺人も、怪事件も、密室も出てきません。でも、謎はあります。 人が何かを隠したとき。誰かを守ろうとしたとき。うまく言葉にできなかった気持ちを、別の形に変えてしまったとき——そこに謎は生まれる、とわたしは思っています。 謎は、人間のいちばん繊細な部分に触れています。 そういう物語を書きたくて、ずっと書いてきました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー なぜ日常ミステリーなのか もともと、ミステリー小説が好きでした。特に「日常の謎」と呼ばれるジャンルに夢中になって、気づけば自分でも書くようになっていました。 このジャンルの魅力は、「事件の規模」ではなく「人間の機微」で勝負できるところにあると思っています。誰かが死ななくても、世界が揺らがなくても、読み終わったとき胸に何かが残る——それが日常ミステリーにしかできないことだと、書けば書くほど強く感じます。 どうして図書委員の子はあの本を毎週借りていたのに、ある日突然借りなくなったのか。どうして友達は、昨日まで楽しそうだったのに今日は笑わないのか。どうして彼女は、わざわざ遠回りをして帰るのか。 小さな「なぜ」の向こうに、誰かの本音がある。誰かが必死に守ろうとした何かがある。そこを丁寧に掘り当てる作業が、わたしにとっての小説を書くということです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 謎と、恋について 日常ミステリーを書いていると、どうしても「恋」という感情と向き合うことになります。 謎を解こうとする人と、謎の中心にいる人。何度も言葉を交わして、相手の嘘に気づいて、それでも責めずにいられる理由を探して——気がつけば、それはもう「謎を解く」という行為を超えています。 わたしの書く物語では、謎と恋が互いを照らし合います。謎があるから相手のことを深く知ろうとする。深く知ろうとするから、恋が育つ。その順番を大切にしたいと思っています。 天才が一瞬で謎を解く話より、不器用な二人が少しずつ歩み寄っていく話が書きたい。 読んだ人が「自分のことかもしれない」と思えるような、そういう手触りの物語を目指しています。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 連載予定の作品について 現在、以下の作品を連載予定です。 プロットはできていますのでしばらくお待ちください。 『放課後研究会レポート』 旧校舎の元物置を借りた、こぢんまりした部室。誰も依頼しに来るわけでもなく、部費もなく、顧問もいない。名前だけは仰々しい「放課後研究会」が活動の拠点です。 語り手の霧崎湊は、気だるげな表情をしているくせに目だけが鋭い、そういう男です。身の回りで起きる小さな「おかしいな」が気になって仕方ない性質で、放っておけばいいとわかっていても、首を突っ込まずにはいられない、思っているより不器用なやつです。 三条雪乃は、雪乃の家が何百年も続く旧家の娘です。おっとりした柔らかい微笑みと、艶のある黒髪。紅茶を丁寧に淹れる人で、上品だけれど気取らない。ただ、その琥珀色の目はよく見ています——事件の謎解きよりも、相手の心に寄り添います。 二人の謎解きの背後には、三条家をめぐる百年越しの「預かりもの」の縦軸が静かに走っています。高校から大学、やがて七年をかけて、その謎の全貌が明らかになるとき——二人の関係も、ひとつの場所へたどり着きます。 一話完結の連作形式です。各話は独立した謎を持ちながら、読み進めるほど二人の間の何かが少しずつ変わっていきます。その変化に、ある日気づいていただければ、作者として本望です。 『きみの謎解きに、朝ごはんを』 高校一年生の周防巡は、実家が定食屋の、ごく普通の常識人です。料理が得意で、世話好きで、放っておけない性格——そのせいで、入学早々とんでもない相手に目をつけられました。 天野詩織。小柄で栗色のショートカット、推理するときだけ目が鋭く光る、クラス一の美少女です。頭脳は明晰、自信家、学校の謎なら何でも解く。ただし、料理はできない、掃除もできない、お金の管理もできない、そして——ひとりでいるのが、たぶん得意じゃない。 父は海外赴任、母は多忙な勤務医。詩織の家は実質独り暮らしも同然で、気づけば巡が毎朝朝食を作りに通うようになっていました。タイトルはそこから来ています。 二人は生徒会公認「何でも相談室」を運営しています。室長・天野詩織、助手・周防巡。クラスメイトから「夫婦か」とよく言われますが、巡は毎回「探偵と助手だ」と即答します。詩織は否定しません。 物語のジャンルは、ミステリーというよりコメディです。謎は人が死なない日常の謎、章の主役は二人の掛け合い。詩織に振り回されながら巡がツッコむ、その繰り返しです。ただ、シリーズ全体には一本の縦軸が走っています——詩織の祖父が遺した「未解決事件のノート」と、「孫を頼む」という一言。二人の出会いが偶然ではなかったことが、最終章でわかります。 読んでくださる方へ 10代・20代の読者の方に届いてほしいと思って書いています。でも、もちろん年齢は関係ありません。 「昔こういう気持ちだったな」と思いながら読んでいただいても、「今まさにこれだ」と感じながら読んでいただいても、どちらでも嬉しいです。 登場人物が誰も死なない物語でも、謎は人を動かします。謎は人を変えます。そして、謎は人と人をつなげます。 そういう物語を、これからも書いていきます。 もし気が向いたら、読んでみてください。 佐野 智
カクヨムネクストの公式アカウントです。
カクヨム運営公式アカウントです。