最近、話題になっているタイムズ流出事件。
当所、私は何食わぬ顔をしていた。当然だ、自分の車はある。なぜ、そのようなサービスを利用しなければならないのか。
そもそも、レンタカーを借りる機会など、友達や知人と遊ぶ時だけではないだろうか。そのようなタイミングはこれまでの人生に一度もなかった。
旅行の計画が持ち上がったことがない。持ち上がったとして、誘われたことがない。誘われたとして、行く自信がない。ドライブの行き先を相談する相手がいない人間に、カーシェアもレンタカーも必要ない。どうやらタイムズは、私のような人間の顧客リストを作るほど暇ではなかったらしい。そう結論づけて、ニュースを閉じようとした。
ところが、ふと気になってブラウザの保存済みパスワードを開いてみた。
あった。
「タイムズ」の文字と、見覚えのあるメールアドレスが、堂々と並んでいた。
記憶をたどる。そういえば数年前、キャンペーンのポイントに釣られて登録した気がする。一度も使っていない。使っていないのに、データだけはしっかり預けていた。友達と借りる予定はなかったが、情報だけは世に貸し出していたわけだ。
画面の前で、私は静かに姿勢を正した。
さっきまで何食わぬ顔でふんぞり返っていたのは誰だったか。すっかり立場が弱者に切り替わった私は被害者の顔をして集団訴訟の情報を調べ始めた。気づけば参加条件のページを開いていた。
砂糖の山に群がるアリは、きっとこういう気持ちなのだろう。
タイムズ許すまじ。