こんにちは。万木きるしゅです。
5/1に『千夜一夜と語りべのレシピ』が完結しましたので、改めてご報告です!
この作品の執筆にかかった年月は、構想から資料集め、実食等でのべ1年。
この間、たくさんの思い出ができました。
仕事の合間を縫って大阪万博に弾丸旅行、中東文化を学び現地料理を食べたり。
ペルシャ系の文化交流会にお邪魔して、ペルシャ文化に触れ合ったり現地料理を食べたり。
アラブ系料理屋さんにお邪魔して、日本語のウィキにも載っていない料理雑学を教えてもらったり食べたり。(タッズビーラに関することは、このとき教わりました)
食べたり、食べたり、たまに胃腸炎で寝込んだり。
忙しかった!でもそれ以上に楽しかった!!
振り返れば、本当に充実した一年でした。ここには書き切れないほどの思い出があります。
まだまだ勉強中ではありますが、魅力的な文化を詰め込もうとした結果、文字数制限と戦ったのもいい思い出です。
(実は、文字数制限の関係でカットされた夜話は6つもあります。 カットされたのは、リインの体験談が2つ、蛇の語るルタラの話が1つ、リヤーナの話が1つ、ニザの話が2つでした。いずれ公開したいです)
さて。ここからは、ネタバレにならない程度の小さな解説をしていきます。
【「食う」と「喰う」について】
楽しみや意味を伴う食事には「食う」、伴わない食事には「喰う」という表現を使いました。
食べるという行為は生物である以上必須であるため、どの地域の食にも重厚に折り重なった文化があり、多岐にわたるエピソードもある。そして大抵、「共に食事をする」ということは人と人を繋げる象徴的なシーンである。私も作中の二人の食事シーンにはそんな意味を持たせたいと思いながら書いていました。だからこれは「食べる」「食う」。
一方で、シャンタナの本能的な、どうしようもなく抑えきれない衝動的な飢えからくるものは「喰う」としました。
【舞台となった地域について】
あくまで小説の舞台は中東風の架空世界ですが、それぞれモチーフの地域があります。
まずリインの出身地である『西の砂漠』はヨルダン周辺をイメージ。
シャンタナやルタラの出身地『東の大陸』はインド(なので中東ではない)。
たびたび登場する『アーリア』はイランをイメージしています。他にも、残念ながらカットされた『ニザとシャンタナがハンマームの怪奇現象を探る話』があったのですが、その舞台はエジプト周辺でした。
大きな分類で「中東」とひとくくりにしてしまえばそれまでですが、「アジア」といっても日本とインドやウズベキスタンなどでは全く文化が異なるように、中東のイスラム圏だけでも文化の違いがかなりあるため、限られた文字数の中でちょうどよく表現するのが難しかったです。
【ひとつだけ創作料理】
オリジナルアレンジの食べ物も一部登場することをここに記しておきます。
氷菓のことをリインがシェルベ、シャンタナがファルヌーシュと呼びますが、どちらも創作名です。シェルベという名は、作画担当のpazet0氏命名。ファルヌーシュという名は、『ペルシャな週末』で知り合えたイラン出身の方に命名していただきました。その名付けの由来は、本編の通り。おしゃれですよね!! 改めて、ご協力ありがとうございました。
【作中に流れる思想や引用】
作中に登場する「ラーフィタ信仰」は創作で、イランの『シャー・ナーメ』やルーミーの神秘主義など、多方面から影響を受けています。もう少し詳しく書きたかった!
また、作中の随所随所にアラビアンナイト(千夜一夜物語)のオマージュや、ルーミーの詩、ハーフェズの詩、オマル・ハイヤームの詩、アブー・ヌワースの詩などをちりばめています。
個人的に、飲んだくれて美少年を誑かしてばかりのアブー・ヌワースの詩集は特に面白く読めました。
では、今日はこのあたりで。いずれはネタバレありの解説も書いてみたいです。
今後は、カクヨムにて今回カットされた話をアップし、アルファポリスにてノーカット版でアップする予定です。そのときは覗きにいらしてください。
最後になりましたが、「語りべのレシピ」を読んでくださった方、評価やコメントまでくださった方、本当にありがとうございます。この作品は角川文庫キャラクター小説大賞に応募しますので、今後とも応援よろしくお願いいたします。みなさまに幸あれ……。
反応くださったみなさまと、世界の親切な人々に愛を込めて。