一般的に聖書というと、キリスト教の書物というイメージがありますが、キリスト教で使われている聖書は、大雑把に言うとユダヤ教の聖典(タナク、あるいはヘブライ語聖書)にキリスト教独自の書物を付け足したものです。
ユダヤ教の聖典と共通する部分が旧約聖書と呼ばれ、キリスト教徒が新しく付け足した箇所が新約聖書と呼ばれています。なので、成り立ちが異なる書物がくっついてキリスト教の聖書になっているわけです。
遥か古代、ヘブライ人(ユダヤ人の先祖)は大国である新バビロニアに自分達の国を滅ぼされました。
そして、多くの人々が新バビロニアの首都バビロンに連行されました。この出来事が「バビロン捕囚」と呼ばれています。
国を滅ぼされたヘブライ人は、民族の伝承などをまとめて書物をつくり、自分達のアイデンティティを守りました。こうして作られたのが、ユダヤ教の聖典(タナク、あるいはヘブライ語聖書)です。
その後、ユダヤ教の一派からキリスト教が生まれました。
キリスト教はもともとユダヤ教の一派みたいなポジションだったので、ユダヤ教の聖典も自分達の聖典として採用していました。
しかし、後にキリスト教徒たちは、イエスについての伝承や教会の文書などを編纂し、後に聖典に加えました。
そういうわけで、キリスト教徒はユダヤ教の聖典を旧約聖書と呼び、キリスト教徒が新しく編纂した文書群を新約聖書と呼ぶようになったのでした。
そして時代と場所は変わり、大航海時代のジャマイカ。
ジャマイカはスペインに侵略され、スペインの植民地となりました。
そして大変惨たらしいことに、スペインは暴力によってジャマイカの先住民を絶滅させてしまいました。
その後、スペイン人たちはアフリカの人々を奴隷としてジャマイカに連れてきました。彼らが現代のジャマイカ人の先祖です。
さらに時は流れ、イギリスがジャマイカを植民地化しました。
そしてさらに時が流れ、ジャマイカはイギリスから独立しました。こうして現代に至るわけです。
ジャマイカはヨーロッパに植民地支配されていた時代が長いため、ジャマイカの人々の大多数がキリスト教徒です。
それゆえ、ジャマイカで生まれた信仰であるラスタファリの聖典もキリスト教の聖書(旧約聖書+新約聖書)です。
こうして、人々を支配する植民地主義や弱肉強食の資本主義など、あらゆる抑圧的な社会体制や集団が「バビロン」と呼ばれるようになりました。
レゲエはラスタファリの影響を色濃く受けているため、レゲエでも抑圧的なシステムが「バビロン」「バビロンシステム」と呼ばれています。
ちなみに旧約聖書では、エジプト、アッシリア、バビロニアといった当時の大国や、バビロンなど当時の大都市が悪役として登場します。
これは、権力を持った人や勢力は悪に走りがちだという普遍的な真理を表現しているのかもしれません。
実際、大航海時代ではヨーロッパの国々が圧倒的な軍事力によってアメリカ大陸、アフリカ、アジアの人々を虐げました。
ラスタファリの信者たちは、ヨーロッパの国によってアフリカからジャマイカに連行された人々の子孫である自分達を、新バビロニアによってバビロンに連行されたヘブライ人と重ね合わせて、抑圧的な社会体制を「バビロンシステム」と呼んだのかもしれません。