最後の異世界転生譚 ――Echoes Beyond the Aurora Manuscript――
https://kakuyomu.jp/works/1681862217100678216283話 まさか龍ではあるまいな
スペルアベルの戦乱が終結した頃、舞台は移り、四代目長女国家ラーンマクへ。
その地では三女継承者オロルが一人で前線を支えていた。戦場に現れた異形の存在は、半人半蛇の禍々しい敵。オロルは時を止める術を駆使して先手を取るが、相手は信じられない速度と再生力で応戦する。
スペルアベル編から休むことなく次のバトル展開です。オロルが持つ『時止め』の力はチート級の能力なので、なんとかして互角の戦いができるように舞台を考えるのに難儀しました。
84話 羨ましい
オロルは半人半蛇の異形「ユラ」と対峙。
ユラの力は嫉妬であり羨望――対象の能力を欲し、言葉に出すことで模倣する呪術。彼女はオロルの速度、強さ、知性、そして時止めの能力までも取り込んでしまう。
絶体絶命の中でオロルは冷静さを保ち、術式の構造と制限、模倣された力の限界を即座に分析。対話と観察を通じて、敵の力が完璧な再現ではなく、模倣に過ぎないことを看破する。
静止空間における異常な均衡、そしてオロルの知略と胆力が試される。
オロルのチート能力を生かしつつギリギリな戦いを描くために、知能戦の構造にしました。優位性を一つずつ奪っていく、静止空間の密室劇のような攻防が展開されます。
85話 私の絶望がわかるはずない
遂に白熱の肉弾戦へ。オロルは体術のみで凌ぎ、神器すら使えない状況でユラの猛攻に追い詰められる。ユラの攻撃は速度・強度・呪力を兼ね備え、オロルは深手を負って瀕死となる。
ユラの放った呪力光線を遮ったのは、突如出現した神器柱時計。戦場のルールを逆手に取るオロルの知略が炸裂する。
だが、ユラの欲望は「神器を羨む」という形で新たな進化を遂げ、蜘蛛のような異形の化け物を“産む”という狂気的変貌を遂げる。
恐怖と混乱の極地で、オロルは機転と柱時計の力を活かし、逆襲へと転じていく。
「知らんよ、恥晒しが」
……このセリフが個人的にお気に入り。オロルは瀕死でありながら、敵の言葉を一蹴する痛快さ。オロルにしかできない反撃だと思います。
86話 争いのない時代
ユラとの死闘は終局へ。
オロルは柱時計を巧みに操り、ユラを不可視の壁へと誘導する罠を完成させる。ユラは自らの術式によって神器を模倣した代償として、制限までも引き受けていた。
重ね掛けできぬ術、不可視の壁、行動制限──これらの三重の罠を『煽りと演技』で植え付けたオロルの策略が炸裂し、ユラは敗北。
ユラは己が過ちと嫉妬を理解し、かつての人間性を一瞬だけ取り戻す。そして名も知らぬ「ヨナハ」の名を呟きながら崩れ落ちる。
オロルはその死を前にして、敵味方という枠を越えた人間としての情をわずかに抱き、手を合わせ祈る。
オロルのチート能力に対抗出来て、ギリギリのバトルを繰り広げた後、今度はオロルらしい勝利を描きました。呪術の重ね掛けはできないけれど、言葉巧みに敵を煽ることで行動を誘導し、勝機を掴む。オロルらしいバトルになったと思います。
『災禍の龍 前編』は始まりからド級のバトル展開でした。
ここから先もずっと戦います。