…路地裏に追い詰めたと過信する冒険者たちと、誘い込んだ冒険者たちを煽るあたしたち。ブチ切れた冒険者たちは、遂に武器を抜く…それが、彼らの命運を別ける稜線とは知らずに…
「傷物にしても構わねぇっ!…死なない程度に殺っちまえっ!」「「「応っ!」」」
各々の武器を抜く男たち。そして、まずは矢が飛んでくる…
カキッ…!
「「「なっ!?」」」「こなくそっ!?」
カキッ…カカカキッ!…
飛来した複数の矢は、全てあたしたちの目前で弾かれ、力無く落ちる。
「…障壁かっ!?」「矢を防ぐ矢散らしか?…ありゃ風属性魔法の筈…でも、風なんて」「なら結界か?…だが、あれはこんなに矢を防ぐなんてできねぇ筈だが…」
それぞれが己の知識と照らし合わせて目前の現象を理解しようとしている…が、どれにも合致せずに混乱している。それもその筈…彼女の結界は強固、且つ…神魔力を注ぎ込めば、注ぎ込む程に頑強に持続時間も耐久値も増大するのだ。既存の障壁や結界とは比べるのも酷というものだろう…
「構わねぇっ! 矢散らしなら殴りには対応できねぇ筈…」「お、おぉっ! 直接ぶん殴れば済む筈よおっ!」
おおおっ!…と、雄叫びを上げながら駆け寄って来る男たち。
「はぁ…」「殺る?」
溜息を吐くあたしにミルが感情の篭もらない声で聞いてくる。
「…その価値も無いと思う。労働力(冒険者たち)の減少にはギルドも眉をひそめるかもだし?」「なら、どうする?」「こうする…アースバインド!」
男たちの足元から土で作られた蔓が伸び、彼らを拘束する!
「…からの、スタンスパーク!」
ビリビリと土の蔓から電撃が走り、拘束した男たちの自由を完全に奪い去る!
「「「なっ!?…これは…ギャアアアっ!?」」」
路地裏に響く野太い叫び声…そして、誰が通報したのか、衛兵たちが駈け付けて来た。
「あ、お巡りさんだ!」「オマワリ?…兎に角大事無いです…かぁっ!?」
数人の衛兵が見た光景は…ウネウネと蠢く土色の蔓に拘束された、少々焦げついた冒険者たちと…その隣で立つ少女2人が手を振っている光景だったのだ…
「ナ、ナルホド…彼らに追い回されてしかたなく、ですか…」
コクコクと頷くミル。追随するあたし。調書を取っている衛兵。真偽は…隣の真偽判定水晶の色合いから嘘は吐いてないと判断。
「了解した…今日はもう行っていいよ」「無罪放免、ですか?」「あぁ…但し」
衛兵の真剣な顔付きに息を呑むあたし。ミルは澄ました顔で宙を凝視してる…キット、全然姿を見せない女神と交神してるんじゃないかな?
「女の子なのだから、無理はしてはいけないよ?」
と、ニッコリ。
「あ…はい」
という訳で、2人は解放される。一応…ギルドからの免罪符もあり、それが確認された事で大事にならずに…というのもあったと思う。襲って来た冒険者たちが素行不良者…というのも判断材料になったというのもあるんじゃないかな?
「あいつら、どんな沙汰が降りるんだろうね?」「…犯罪奴隷落ちっぽい」「ふぅん…」
普段から新人冒険者から搾取してたんなら、そらそうなるかな…と思うあたしナ。ミルの話では、将来有望な新人冒険者を見つけては、話巧みに取り入れ、使い倒した挙げ句…使えなくなった時点で追放…具体的には聞けなかったけど胸糞悪い事をしてたんだろうなと思う。
(行方知れずといった時点でお察しだよね…)
全く救われない話だ。どこぞの物語みたいにチートなんて発動せずに、そのまま…なのだろうし。
「なら、撒き餌になってもいいよね?」「…どういうつもり?」「決まってるじゃない…そんな可哀想な子たちを生む前に防ぐの…」
可愛いはせいぎ。よ!
…と、ナナの大声は大空に響いた。いや、不幸な子たちを生まない為に大言壮語を吐くのはいいけど、恥ずかしくないの?…と、思うミルだった(苦笑)
…締まらない最後でしたがこれにてこの物語はお終いです。長らくのご視聴有難う御座いました…え? 聴いてない? そりゃ活字作品ですから…え、違う? まぁまぁ…ナンダカナ(苦笑)