「ふっふーん。その程度で恥ずかしがっていては貴族の名折れですのよ?!」
「え、あ、あなたは?」
「あたくしは誇り高き竜王国三大公爵家筆頭が長女、リプレ・レジーナ・リンドヴルムですのよ!」
「リ、リプレさん? あの……この衣装が着たいのですか?」
「あなた聞くところによると伯爵家の娘のようですわね。あたくしが公爵家の娘として、どんな服を着ても貴族にふさわしい振る舞いというのをみせてあげますのよ! オーッホッホッホ! ですのよ」
「けどこの衣装は……恥ずかしいですけど、ラーズさまが選んでくれたもの……あげるわけには……まいりませんわ!」
「い、いや、(テッドに確認してもらうための)写真撮ったらもうあげちゃっても……あ、なんでもない……」
ヒルデの真剣な眼差しに、ラーズは口をつぐむ。
「ふふん、そんな衣装、公爵家の力を持ってすれば模倣するなど容易ですのよ! 貴族の矜持というものを教えて差し上げますので、またこの場所に来るといいですのよ!」
――数日後。
「出来ましたわ! ほらヒルデさま! 見てごらんなさいませ……あれ? なんだか布が……」
「ちょっ……ちょっとリプレさん?! あなた試着もせずに来たんですの?! 色々はみ出ちゃってますわ! 事故ですわよっ!! ……ラーズさまはあっち向く!」
「き、貴族の矜持……ですのよ」
自分のあまりにも間抜けな状況に腰が抜けるリプレ。
「ちょ、震えてますわよっ?! 矜持はまた今度でいいですから、今日は解散ですわっ! 担架……いえ、スカイキャリーをっ!」
リプレを見ないように明後日の方向を向かされているラーズを尻目に、立てなくなったリプレを介抱するヒルデ。
「ラーズさま……恥ずかしいですけど、衣装はまた今度じっくり、できれば屋内でおねがいしますわ」
純粋なヒルデの瞳。
「……本当にすまなかった!」
耐えきれずに土下座するラーズだった。
◇
「き、貴族の矜持……ですのよ……」