10年ぶりに地元に集まった小学校の時の親友、博之と淳司と武英の三人。
居酒屋で淳司が語った『卒業アルバム回収』の話。そして、その当時いじめられていた障がいを持つ知美という女の子の話。
淳司が見せてくれたスマホのネットニュースで、博之は衝撃を受ける。
そこには、昔とは比べ物にならないほど眩しく輝いていた彼女の姿が……。
翌日、博之は、知美とカフェで会う約束し、そこで10年ぶりに再会する。博之は、知美がいじめられていた時に、見て見ぬふりをしてきたことを謝る。でも、そこにいた知美は、あの頃の彼女とは全く別人だった。
『ディスグラフィア』という障がい。彼女はずっとこれと戦っていた。博之は、想像もつかない知美の10年間の壮絶な過去を知る。
しかし、今こんなに輝いている彼女に、いつしか博之は心が動いて行く。
数日後、博之の元に知美からのポストカードが届く。
そこには、彼女からの直筆のメッセージが……。
「障がいを持つ君の見えている世界と、健常者の自分の見えている世界は違うんだね。君は知らない間に随分先にいたんだ」
「あなたの10年は、本当に10年ですか?」
実話を元にした、実在するディスグラフィアの障がいを持つ少女に、未来へのエールを込めて書きました。いつかきっと……。