とある時間、とある場所に、病弱な少女がいた。彼女の名はリィエル。友と呼べる人は唯一の幼馴染みであるレインだけだった。 そんな2人は、ある願い事をする。『他よりも強い身体を』と。

　赤月蒼斗。私の幼馴染みにして、最愛の彼氏。運動ができて頭が良くて、それに誰彼構わず手を差し伸べられる優しさがあって。そんな彼が私は大好きだった。 　そして、彼は私の前から消えた。

　年が明けた。 　最愛の恋人は隣にはいない。互いに別々の大学へ進み、予期せぬ疫病によって彼女は帰ってくることが出来なくなった。 　それでも、俺たちは変わらない。

　朱鷺時雨には幼馴染みの彼女がいる。そして、妹がいる。 　全く関係のないように見えるこの二人だが、実はこのクソウイルスが蔓延したことによって変わった生活の中ではこの二人とも距離が…

　当たり前を当たり前だと、そう思えることがどれだけ大切なことなのかを、俺たちは理解するべきだ。話すことが出来ること、目が見えること、愛しい人の声が聞こえること。そして、大地を踏み…

　俺には好きな人がいる。知的で、それなのにそれを驕るような態度は取らない人だ。というか多分、それしか魅力がないと思う。 　何故か俺にだけは高圧的なのが気になるところだが、それでも…

　俺の家の隣に引っ越してきた暁晴空。めちゃくちゃ晴れ晴れとした名前のこいつは、馬鹿だ。言うことが、やることが、発想が、その全てがずば抜けて尊敬するレベルで馬鹿だ。 　これは、そん…

　幼馴染みというのは大変なんだ。それも先輩となれば、距離感は難しい。 　そう、俺と彼女――棗美南は幼馴染みだ。容姿は完璧、運動もできて成績はいつだってトップだ。ここからは俺しか知…

　郷川響介には彼女がいる。かれこれ高校の頃から付き合っている、長い彼女だ。 　今日はそんな彼女、白川結の誕生日。これで二人とも二十歳になるめでたい日に、彼女が突然言い出したことは…

　私には幼馴染みがいる。まあ、それがかなり面倒な幼馴染みなのだ。優しいし顔も悪くない、気遣いはできるし、これは私限定な気もするけど困っていれば助けてくれる。そんな彼はは、所謂オタ…

　ソロモン七十二柱の一角であるアスモデウスの名を冠した少女は、ひとりの男を探していた。すべては彼に――ソロモンに八つ当たりをするためだ。 　これは色欲の少女の、ほんの少しの復讐劇…

　人並みでいい、と。そう思っていた。夏休みのあの日までは。 　あのとき偶あの時間にコンビニへ行かなければ変わらなかった、俺の未来。ほんの小さなきっかけが変えた決意。 　これは俺が…

　人並みでいい、と。そう思っていた。夏休みのあの日までは。 　あのとき偶あの時間にコンビニへ行かなければ変わらなかった、俺の未来。ほんの小さなきっかけが変えた決意。 　これは俺が…

　日野蒼士には両親がいない。たった少しの間だけ愛を注いでもらったが、両親が病と事故で死んでからは、俺が妹に愛情を注いだ。 　それから妹は専門学校へ行くために家を出て、俺は一人にな…

　夏休み。 　田舎の島から学校へ毎日通うわけにも行かない俺は、学校の近くへと下宿していた。そして夏休みは、一年間で唯一ともいえる実家に帰ることができる期間だ。 　家族に友人、そし…

　お父さんは、いつだって仕事ばかりだ。帰ってきてもご飯は食べないし、朝起きたらその日の分のお金だけが置いてある。ああ、そうか。きっとお父さんはわたしのことなんてどうだっていいんだ…

　後輩というものは、非常に面倒なものだと思う。嫌いなわけではないし、むしろ慕ってくれるというか好意を向けてくれるのは嫌な話ではない。 　それに、かわいいのだ。多少そういうところは…

　桜庭雫は不思議な能力を持つ。それは、自身の大切なものと引き換えに他者の願いを叶えることができる、というものだ。雫自身にはなんの意味もないその力を、雫は喜んで、躊躇いなく使ってし…

　何度目かのデート。何度目かの待ち合わせ。高鳴る鼓動。 　ポケットに入れたスマートフォンが振動した。さて、なんだろう。きっと君からのメッセージだ。

　感情を持ったアンドロイド。それを誰にも言うことなく、ただ密かに完成させた科学者がいた。その人間の少女の形をしたアンドロイドの名はルミナス。 　様々な感情を知ったルミナスは、完璧…

　幼馴染みがいた。いつも一緒だと思っていた。だからそれを形にしたくてバレンタインデーには準備をしていた。 　これはそんな私の恋の話だ。

　赤坂葵は、好きな歌手がいた。元々はネットで歌い手として活動していたその歌手が事務所に所属して、少しずつ有名になっていく姿をずっと見守っていた。それだけで十分だった。 　ある日、…

　俺には、見えてはいけないものが見えていた。所謂、妖怪というものだ。 　別にそれで困ったこともなかったので気にもしていなかったが、いつの日からか一人の妖怪に付きまとわれるようにな…

　とある潜入捜査。その前日の夜の話。

　地縛霊という部類になってしまったのか、私はかれこれ二百年ほどここに縛られている。悪さをするつもりはないから事故物件にもならないこの家に、またひとつの家族がやってきた。 　退屈だ…

　今の若い人ってなんだろう。俺は何度も、今の若いやつはと罵られてきた。みんながみんなそうではないと思っていても、俺の周りにいるのはそんな大人たちばっかりだった。 　そして、俺も大…

　あたしは、生きる目標だとかそういうものがなかった。あの日彼に助けられるまでは。

　天音空は病弱だった。そんな幼馴染のことを俺はいつも見ていた。 　見ていることしかできなかった。そんなある日、一匹の黒猫が俺に提案をしてきた。 「三つ。君がボクに貢げば、願いを…

　俺の家の近所には、豪邸がある。近所といってもその豪邸には雪見詩奈というお嬢様が住んでいて、彼女はそんな守られるばかりの生活に飽き飽きしていた。 　なぜ俺がそんなことを知っている…

　あの日、私は彼に出会った。親がいなくなったという境遇だけで、私は三歳年下の彼を拾った。そんな余裕なんてなかったのに。 　これは私の贖罪。無責任な私が彼にできるほんの少しの居場所…

　古びた本屋。ここに来るのはおじいちゃんと同じくらいの歳の人ばかり。流行りの漫画を入荷しても、いつも売れ残ってしまうような店だ。 　そんな店に、毎週月曜日には飽きもせず同級生がや…