皆さん、こんにちは。莧子です。
タイトルの通り、《小精霊の修繕屋》が無事に完結しました。連載中はたくさんの応援や励ましをいただき、最後まで読んでくださった読者の皆さんに、本当に感謝しています。こうして無事に完結を迎えられたことを、とても幸せに思います。
本作の着想は、実はネット上で長いこと広まっていた、あるくだらないネタがきっかけでした。家電の仕組みについて誰かが尋ねると、なぜか示し合わせたかのように「小精霊がいるから」と答える人たちがいて、さらには「本当に家電の中に小精霊が住んでいて、人間の代わりに黙々と働いている」という、荒唐無稽で笑える理屈まで次々と出てくるんです。
そこで、その冗談を少しだけアレンジしたところ、物語の基本設定ができあがりました。考えていた時間は、たぶん十分にも満たなかったんじゃないでしょうか。こういう時ばかりは、ミューズの女神様のご加護に感謝しないといけませんね。
まずは主人公たちについて。
主人公の橘修太は、構想段階からほとんど設定が変わっていません。直感的に「穏やかで優しい、いい子」を書きたいと思っていました。
その代わり、こういう主人公はどうしても「面白みがない」「個性が弱い」と思われやすいところがあります。最後の格好いいところで、少しでも読者の印象に残ってくれていたら嬉しいですね。
ちなみに「橘」という字は、中国語では植物を指すだけでなく、「オレンジ色」という意味もあります。修太の髪色や、夕日のような印象を少し意識しています。もちろん「修」については……もう説明する必要はないですよね(笑)。
一方、黒川芽依の設定は、構想当初からかなり変わりました。
最初は、冷淡で、あまり表情を見せず、人の心がまったく分からない、超理系女子を書こうと思っていました。でも、そんな人物が頑なに修理工を目指しているのは、どうにも少し違和感がある。
そこで、理系女子というキャラクターを出発点に少しずつ手を加えていったところ、ちょっと変な部分が増えていき……気づけばやりすぎて、現在の超個性的な芽依になってしまいました(笑)。
でも、この決断は本当に気に入っています。おかげで芽依には、たくさんのコメディ要素を担当してもらうことができました。
過去の作品を振り返ると、構成がやや緩いことはずっと自分の弱点だったので、今回はそこを意識して改善しようと思っていました。
その結果、ひとつひとつの事件を描きながら物語を進めていく、いわゆるオムニバス形式にすることにしました。
……まあ、だからといって、そこまで構成が緻密になったわけでもないんですけどね(笑)。
ただ、推敲している途中で、
「普通の主人公が変わった専門家と出会う」
→「その相手のパートナーになる」
→「一つずつ事件を解決していく」
→「最後に大きな展開が起こる」
→「物語を締めくくる」
という構造を改めて眺めていたら、しばらくして、
「……これ、朝ドラでよくやる展開じゃない?」
と気づいてしまい、思わず笑ってしまいました。
作品のテーマだけでなく、構成までこんなに懐かしい雰囲気になっていたとは。
気がつけばこんなに長く話してしまいました。まだまだ細かいことを色々と語りたい気持ちはあるのですが、あまり長くなるのもくどいので、今回はこのあたりで止めておこうと思います。
改めまして、《小精霊の修繕屋》を応援してくださり、本当にありがとうございました。
静かで穏やかな作品だったことは自分でも分かっているので、それでも最後まで読み続けてくださった読者の皆さんには、心から感謝しています。
この作品から、ほんの少しでも楽しさを感じてもらえていたのなら、作者としてこれ以上嬉しいことはありません。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
これからも、まだまだ読者の皆さんにお届けしたい作品があります。もしまたご縁がありましたら、その時はぜひ、次の作品でもお会いしましょう。