入院中、私は毎日ノートに日記を書いていた。
他にすることもなかったし、書くことでしか、自分を整理できなかったからだ。
誰に見せるでもなく、ただ心の中の言葉を拾って並べていく作業。
そんなある日、病室を訪れた看護師さんが、何気なく私のノートをのぞいて一言、こう言った。
「いつか、Harmonyさんの本が書店に並ぶのを待ってますね。」
その時は照れくさくて笑ってしまったが、心の奥には、ずっとその言葉が灯のように残っている。
――書くことが、自分を救っていた。そして、もしかしたら誰かに届くこともある。
そう思えた日だった。