【 if探索の成果 】
地下三十一階を探索していると、かなり強力なモンスターと遭遇した。
それは馬に騎乗した騎士のホブゴブリンで、これまで戦ったモンスターの中でも最強だった。
俺が前に出て相手をし、東風達が援護に徹する。この戦法で削って行き、何とか勝利した。
「んで、この鎧なんですけど、誰が使います?」
東風がテーブルの上に置いたのは、ホブゴブリンが使っていた鎧。この鎧を装備すると、召喚獣を呼び出せるという特殊効果が付与されていた。
「俺は全身鎧なんて使わないから、そっちで決めてくれ」
「私も同じです。そんな重い鎧身に付けてたら、皆さんに迷惑を掛けてしまいます」
鎧の使用を拒否したのは、斥候の元と治癒魔法使いの美桜だ。
「俺も今使っているのがあるから必要ないな」
俺が使っている魔鏡の鎧は、今回の戦利品よりも性能は上だ。なら、東風か騎士が使うべきだろう。
そう思っていたのだが、東風から待ったの声が上がる。
「ちょい待ち。田中さん、この鎧使いませんか?」
「いや、だから俺にはもうあるから……」
「そうなんですけど、この召喚獣ってやつ、どうも召喚主の実力によって呼び出される能力が変わるらしいんです。このパーティの最強は田中さんだ。なら、田中さんが使うべきでしょう」
強い意志で告げる東風。
「それはリーダーとしての命令か?」
「はい、この鎧を使って下さい。田中さんが使う方が、パーティの戦力アップにも繋がります」
そうか、リーダーの命令なら仕方ない。
「分かった……だが断る!」
「いや何でですか⁉︎ 今良いよって雰囲気出してたじゃないですか⁉︎」
「確かにそうだ。別に使っても良いかなって、ほんのちょっぴり考えた。だけどよ、ほら、この鎧を見てみろよ。めっちゃダサくね?」
そう、デザインが西洋の甲冑とそう変わらないのだ。魔鏡の鎧はファンタジー感溢れるイカしたかっこ良さなのに、この鎧は何というか地味。同じダンジョンで手に入れたと思えないほど、ヴィジュアルに格差が付いていた。
「いや、田中さんの体型でそれ言っちゃいます?」
「おい騎士、お前だって俺の歳になったらこうだからな」
「マジでか⁉︎ そんなんなったら俺生きていけないですよ⁉︎」
「おまっ⁉︎ そこまで言う必要なくない⁉︎」
騎士に忠告したつもりが、まさかのカウンターを食らってしまった。まったく油断ならないな。
なんて下らないやり取りをしていると、東風がリーダー特権を行使する。
「とにかく! この鎧は田中さんが使う! んで、魔鏡の鎧はパーティで買い取って騎士が使う! もうこれで決定! 田中さん良いですね⁉︎」
文句は言わせないという意気込みが伝わって来る。
まあ、俺も召喚獣という物には興味があるし、買い取ってくれる上に騎士が使うのなら文句は無い。それに、このパーティの戦力も向上するのだから、良いことずくめだ。
俺は頷いて同意すると、新たな鎧を見る。
「……やっぱ見た目がな〜」
どうせ装備するならカッコ良い方が良い。
やっぱ魔鏡の鎧の方が良いな。
「なあ、やっぱり魔鏡の鎧の方が……」
再び駄々をこね始めた俺を見て、今度はパーティみんなから「そりゃないっすわー」と呆れられたのは言うまでもない。
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