引き続き書いてみました。
宜しければ読んでみてもらえたら嬉しいですm(_ _)m
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──【名もなき観測者】──
彼は、自分が何者なのかを考えなかった。
考える必要がなかったからだ。
世界は、《新キー》のもとで完全に整理されている。
生まれ、役割を与えられ、役目を終えれば消える。
名とは、その流れを管理するための記号にすぎない。
彼には、それが与えられていなかった。
ただ『観ていた』。
街を歩く人々の背後に、わずかな遅延があること。
死者の記録が、正確すぎること。
魂という概念だけが、どの文書にも定義されていないこと……。
誰も疑問にしない。
《新キー》がそう定めているからだ。
《旧キー》に触れたのは、偶然だった。
廃棄区画。用途不明。アクセス権限なし。
そこに“在る”という事実だけが、彼の目に映った。
触れた瞬間、世界は変わらなかった。
変わったのは、世界を測る基準だった。
生と死の境界に、数値化できない揺らぎがある。
その揺らぎは、《新キー》では切り捨てられている。
彼は知ってしまった。
反魂とは、死者を蘇らせる技術ではない。
世界が見ないことにした“余白”を、再び観測する行為なのだと。
そして――
観測されたものは、もはや無かったことにはできない。
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明日は各地で雪がかなり降るそうですね。
色々と大変そうですが、皆様、お気をつけ下さいませ。